室内空間における"響きの質"の評価に関する検討の一環として,"響きの滑らかさ"及び"響きの美しさ"に関する心理評価実験が,1/10スケール模型ホールにおけるインパルス応答から得られた試験音を用いて実施された。評価実験には音楽学校の学生4名が被験者として参加した。評価実験の試験音は,ピアノ,ストリングス及びノイズパルスのドライソースに模型ホールのインパルス応答を畳み込むことで作成された。本研究を通じて,(1)"響きの質"と"音場拡散"との間には一定の関係が認められること,(2)室内音響模型実験による可聴化音はこの種の評価実験において十分実用性があること,(3)音楽関係者を被験者とすることにより,"響きの質"という微妙な評価に関しても十分信頼性の高い評価データが期待できること,等の重要な結果が得られた。
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