災害時に避難を迅速に促すために,緊迫感に着目した呼びかけ音声の見直しがされている。しかし,緊迫感のような話し方による音声の印象が避難行動に及ぼす影響は系統立てて検証されておらず,また緊急時のアナウンス音声として懸念が示されている。本研究では(1)話し方が避難行動に及ぼす影響,(2)避難行動を促す話し方の印象,(3)呼びかけ音声としてのふさわしい話し方の印象について明らかにするために,二つの聴取実験を行った。その結果,(1)話し方によって避難行動は変化する,(2)緊迫感が高い話し方は避難行動を促す,(3)緊迫感が高い話し方は呼びかけ音声としてふさわしいとみなされる,ことが分かった。これらの知見は災害時の効果的なアナウンスを検討するうえで有用である。