雨天時に発生する傘の雨滴衝撃音は,視覚障害者が歩行時に手かがりにしている音の聴取妨害になり交通事故等の原因となっていることから,視覚障害者の雨天時の歩行の安全を確保するために,傘の雨滴衝撃音を低減させることは重要である。本研究は,傘の雨滴衝撃音低減のための基礎的検討として,自作した人工降雨装置による試験方法の有効性とそれを用いて測定した傘の雨滴衝撃音の音響特性について検討した。その結果,点滴針を用いて製作した装置によって自然降雨の雨滴に近い周波数特性を有する衝撃音を発生させることができた。更にその装置を用いて10種類の傘の布の雨滴衝撃音を測定したところ,傘の素材や厚さ,傘の面や水滴の大きさ,張力の違いによる雨滴衝撃音のレベル差が確認でき,傘の雨滴衝撃音を低減させるためには,傘の面を大きくし,雨滴を拡散させて小さくする,布の張力をある程度弱くすることによって雨滴衝撃音を小さくすることができることを示した。
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