単一反射音場の時間歪が音節の聴き取りに及ぼす影響を定量的に予測することを試みた。まず音節の同定に必要な音節部分を測定するため, 音節の話頭又は話尾を切断した音節を用いて受聴実験を行った。その結果, 音節同定部分は音節ごとに異なるが, 傾向は母音種別, 拗音・非拗音, 子音種別(有声・無声)によりほぼ分類できること, 音節同定部分が失われるほど異聴度が増加することなどが分かった。また, 音声の動的な特徴が音節同定情報として用いられていること, デルタケプストラムはその音節同定情報と対応していることを示した。次に母音種別, 拗音・非拗音, 子音種別で分類された音節グループ内での音節異聴度を予測するモデルを提案した。最後に, デルタケプストラム自乗距離を距離尺度とする音節異聴度予測式を単一反射音場に適用し予測精度を検証したところ, 予測値と実測値は比較的よく一致し, 音節異聴モデルの有効性が検証された。
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