深海で利用する超音波圧電トランスジューサは強度的に水圧に耐えるのみならず深深度で安定した音響性能を示すものでなければならない。本論文では圧電振動子の後面を非圧縮性の材料による2層構造の音響不整合層でバッキングして圧力バランスさせた超音波圧電トランスジューサを提案している。菊地、中鉢らの用いている等価伝送線路モデルを利用した解析によってその前後比が後方入射音に対する開放伝送係数で近似できることを示したのち、リチャーズの鍵定理を適用し2層構造の音響不整合層を決定し、試作結果で妥当性を検証した。深深度での水圧下での性能を耐水圧タンク内で相互校正し、6,500mにも至る深海でも安定した性能であることを示した。
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