本研究は,日本語を母語とするドイツ語学習者の母音弱化の生成について,学習者の習熟度の影響を明らかにしドイツ語音声教育への貢献を目的とする。強勢拍リズム特有の母音弱化は,母音を明示的に知覚・生成する日本語母語話者への影響も大きい。そこで,弱化特性を考慮した弱化の3分類を新たに定義し,習熟度別学習者と母話話者の話速の異なる発話の比較分析を行った。弱音節に接尾辞<en>を持つ2音節語を対象に,母音のフォルマント周波数と持続時間,それに伴う<n>の伸長を測定した結果,習熟度により弱化の出現に規則性が観察された。習熟度上昇に従い母音の質だけから持続時間にも敏感な発話へと変遷する習得過程を定量的に示すことができた。
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