日本音響学会誌
Online ISSN : 2432-2040
Print ISSN : 0369-4232
76 巻, 6 号
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論文
  • 朱 治, 川村 美帆, 鵜木 祐史
    2020 年 76 巻 6 号 p. 317-326
    発行日: 2020/06/01
    公開日: 2020/12/01
    ジャーナル フリー

    雑音や残響が言語情報の知覚,特に音声明瞭度・了解度に大きく影響を与えることが知られている。しかし,これらが非言語情報の知覚に与える影響に関してはいまだ明らかになっていない。本研究では,これらの外乱が雑音駆動音声の非言語情報(個人性や感情)の知覚にどのような影響を与えるのか調査した。ここでは,雑音・残響環境を想定して雑音駆動音声の話者弁別と感情認識の実験を行った。実験刺激は,雑音,残響,あるいはその両方を付加した音声をもとに作成した雑音駆動音声とした。実験条件は,雑音条件(7種類の信号対雑音比(SNR);SNR=∞, 20, 15, 10, 5, 0, -5dB)と残響条件(6種類の残響時間;TR=0.0, 0.1, 0.2, 0.5, 1.0, 2.0s)の二つであった。実験の結果,話者弁別と感情認識において,雑音・残響の主効果がそれぞれ認められたが,交互作用は認められなかった。これらの結果から,音声聴取に対して極めて劣悪な条件を除く,日常的な雑音・残響環境(SNRで10dB以上でかつ残響で1.0s未満)では,今回の実験の有意水準内で雑音や残響が雑音駆動音声の個人性・感情知覚に影響を与えないことが分かった。

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