圧電セラミックスの横効果縦振動子に固有振動を電気的に励振し,その周波数スペクトルが解析された。基本固有振動に対しては,基本固有周波数以外にもその整数倍の周波数成分が観測された。同様に第2次,第3次の固有振動に対しても,これらの整数倍の周波数成分が観測された。電気的に励振された振動の周波数の整数倍に一致すること,及び電気的には直接励振できない振動が多数含まれていることから,これらは高調波であると推定された。非線形効果を考慮した理論的検討結果からも,弾性的非線形効果により誘起された高調波であることが裏づけられた。
音響再生方式の違い(2チャンネルステレオ,5チャンネルサラウンド,そして高さ方向を含む7チャンネルサラウンド)と,メロディや伴奏といった音楽的文脈の違いが距離感・奥ゆき感に与える影響について2種類の実験を行って調べた。実験1では二重奏の演奏による素材とパルス音を用いて,どちらかの演奏者の位置を基準に,もう一方の演奏者の位置を前後させることで距離感・奥ゆき感がどのように変化するかについて,ME法(Method of Magnitude Estimation)を用いて比較を行った。その結果,映像がない場合には,メロディのように音楽的に分かり易い素材は奥ゆき感が大きくなるといったように,音楽的な文脈の違いによって距離感・奥ゆき感に違いが見られるが,映像がある場合にはそのような違いが見られなかった。実験2では,距離感・奥ゆき感の要因となる物理量として,直接音と間接音の比(DR比:direct to reverbratio)と音圧レベルそれぞれの違いが与える影響を個別に調べた。その結果DR比の違いによる距離感・奥ゆき感の方が音圧レベルの違いによる距離感・奥ゆき感よりも音楽的文脈から受ける影響が大きいことが示された。また,2チャンネルステレオは,DR比の違いが手掛かりになる場合は音源からの距離感が遠くなり,音圧レベルの違いが手掛かりになる場合は音源からの距離感が近くなるが,センタチャンネル,後方チャンネル,高さチャンネルといった再生チャンネルが増えることで,そういった距離感の偏りが補正される可能性が示唆された。