日本音響学会誌
Online ISSN : 2432-2040
Print ISSN : 0369-4232
76 巻, 10 号
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音叉
論文
  • 工藤 彰洋, 下川原 綾汰, 武居 周
    2020 年 76 巻 10 号 p. 547-553
    発行日: 2020/10/01
    公開日: 2021/03/10
    ジャーナル フリー

    本研究では,音像の移動速度がヒトの音像定位精度へ及ぼす影響を明らかにすることを試みた。そのため,ヘッドホン再生によるバーチャルサウンドを用いて生成した種々の移動速度を有する移動音について,移動音が鳴り終わった方位の定位精度を評価する音像定位実験を実施した。移動音の移動速度は,0◦/sから128◦/sまでの5種類とした。音像定位実験は,水平面上で0◦(正面)から90◦(真右)までの方位を対象とした方向定位実験と0◦から180◦(真後ろ)までの右半平面の方位を対象とした前後方向定位実験に分けて実施した。これらの実験には6人の被験者が参加した。実験の結果,移動速度に対する音像定位の特性は被験者によって異なる傾向を示した。また,6人の被験者の音像定位精度を平均した結果,方向定位実験の誤差はすべての移動速度について約10◦を示し,前後方向定位実験の誤差は10%程度であった。このことから,音像の移動速度と定位精度との間に明確な依存傾向が見られなかったため,水平面上での音像の移動速度が定位精度に及ぼす影響は極めて小さいことが結論付けられる。

  • 秋山 大知, 石川 智希, 井本 桂右, 新妻 雅弘, 山西 良典, 山下 洋一
    2020 年 76 巻 10 号 p. 554-561
    発行日: 2020/10/01
    公開日: 2021/03/10
    ジャーナル フリー

    本論文では,音声感情認識において話者間の音声表現の類似性を利用する話者選択を提案する。話者選択を適用することで,選択された話者のみで音声感情認識モデルを学習する。話者選択のための話者間の関係性を分析する手法として以下の2種類を提案する。(i)主成分分析によって表される各話者の発話の音響特徴を用いて表現された部分空間を用いる手法。(ii)各話者の発話の音響特徴により表現される平均ベクトルを用いる手法。音声感情認識のための話者選択の有効性についてサポートベクターマシンを用いて検証した。結果,話者選択なしの音声感情認識に比べてそれぞれ,手法(i)は8.7ポイント,(ii)は10.6ポイント改善されることを確認した。

  • 片岡 寛子, 高田 正幸, 岩宮 眞一郎
    2020 年 76 巻 10 号 p. 562-571
    発行日: 2020/10/01
    公開日: 2021/03/10
    ジャーナル フリー

    保育施設から発生する音の影響を体系的に把握することを目的として,音環境実測調査と近隣住民に対する意識調査を行った。幼児の声や運動会の音は,多くの回答者に好感が持てると判断されたが,それらを不快に感じる回答者もいた。不快な音は,特になしとの回答が多かったが,保育士の声や送迎車の音などに対する指摘も見られた。実測調査と意識調査の対応から,保育施設から発生する音に対する好感や不快感は,その発生時間の長さやA特性時間平均音圧レベルの大きさに必ずしもよらないことが分かった。また,保育施設で行われる行事への参加経験や参加の意思がある人ほど,保育所の新設により肯定的であることが示された。

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