聴覚系の非線形性を調べる目的で、周波数変化する複合音を聴取したときの知覚特性をマスキング実験の観点から求めた。その結果、(2.5kHz+3.3kHz)から(3.5kHz+4.3kHz)に20msで1kHz上昇する複合音を聴取させると、周波数変化部で(f_2-f_1)Hzの差音周波数のところでマスキング量が定常部のマスキング量より6.5dB増加することが分かった。(f_2-f_1)Hzのマスキング量は周波数変化に伴って上昇し、周波数変化速度が2,000Hz/20msになるまで観測された。また、両耳マスキング実験から、この現象は末梢で起きていることが推察された。
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