本研究では,音源や音場に関する情報が環境音の知覚に与える影響を調べることを目的とする。そのために,刺激音の提示に先立ちそれらの情報を言語により予示して,音色評価語,感情表現語,音情報関連語を用いた評価実験を行った。この実験結果を因子分析し,音以外の情報を全く与えずに行った同様の実験結果と比較を行った。その結果,音環境の因子にはよい一致が見られた。一方,各刺激音に対する因子得点には変化が見られた。特に美的因子に関して大きな変化が見られた。そして,その変化は人がその音に対して抱いているイメージに大きく関係していることが分かった。また,音情報予示によって,イメージが確立されることにより,音色の量的因子に関する評価にも影響が現れることが明らかとなった。
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