本論文ではEMアルゴリズムを用いたスパース性に基づく劣決定ブラインド音源分離(BSS)の計算を高速化する手法を提案する。Izumi et al.は,雑音・残響下でも頑健な劣決定BSSを提案したが,到来時間差パラメータをイタレーションごとに離散全探索で求める更新則のために計算量に問題があった。そこで,到来時間差パラメータが周波数に依存すると捉えた,時間差パラメータが解析的に更新される計算量の少ない更新則を提案する。また,帯域重み付け平均による帯域非依存到来時間差推定によってパラメータ数を削減し,収束性を向上させる。実験により,提案手法が計算時間を1/10程度に削減することを確認した。
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