防災行政無線では複数の屋外拡声子局が点在配置されるが,子局間の距離が遠いため,ある程度の遅れ時間のエコーを伴う音声の聴取が困難になるロングパスエコーと同様の問題が発生する。そこで,残響環境での音声了解度指標として提案されたU50に着目し,各屋外拡声器の音声レベルを適切に制御することで当該問題の軽減を試みた。本来,U50は室内音響における初期到来音と後部残響音のエネルギー比で定義されるが,レベル制御下では初期到来音が音声聴取の主要要素になるとは限らない。そこで,確率的U50を定義して,これを用いた全体最適化手法についても検討し,実際の屋外拡声子局配置に基づく計算機シミュレーションにより性能を評価した。