圧電振動子の基本共振周期よりもかなり短いパルス電圧を印加したときの, 超音波トランスジューサの過渡解析を行った。ここでは, 縦効果利用の厚み振動子と, 横効果利用の縦振動子について解析した。解析は, 分布線路による等価回路を利用し, 解析的方法及び数値解析法 (Bergeron法) で行った。解析の結果, 電気入力とほぼ同時に入力電圧パルスに近い波形の超音波出力が得られた。最初のパルス送出後, 振動子内を弾性波が端から端まで伝搬する時間 (時間Tとする) ごとに, 交互に極性を変えて同じ短い出力パルスが発生した。横効果利用の場合, パルス出力の後, 時間Tで次のパルスが発生するまで出力がない。一方, 縦効果利用の場合, パルスが逸出された後も若干の出力が現れ, それが時間と共に大きくなる。また, 電気回路側の時定数が小さいほど入力電圧パルス波形に近い超音波出力が得られる。以上の解析結果を, 厚み振動子を使った簡単な実験系によって確かめた。
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