本論文ではフィードフォワード型能動騒音制御システムで構成される帰還系を推定する適応フィルタが,所要の誤差で収束したことを判定できる方法の一つを提案する。この判定に際して問題は,帰還系のインパルス応答が不明であることから推定誤差の減少特性が観測できないことである。この問題に対して本論文では,異なるステップサイズを適用した二つの適応フィルタの係数の差分を利用することで収束判定が可能となることを示す。また,実用時において想定される外乱パワーの変動には,帰還系と適応フィルタの両出力の差を外乱と近似してステップサイズを制御する方法で対応し,これによって所要誤差による適応フィルタの収束を実現する。