日本音響学会誌
Online ISSN : 2432-2040
Print ISSN : 0369-4232
77 巻, 9 号
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論文
  • 井上 陽仁, 小林 泰秀
    2021 年 77 巻 9 号 p. 561-569
    発行日: 2021/09/01
    公開日: 2021/10/01
    ジャーナル フリー

    熱音響自励発振を利用する熱音響システムの圧力振幅は,負荷が一定の場合,熱源により変動する。熱源温度が大きく低下すると自励発振が停止しシステムが機能しなくなる。また,自励発振周波数は熱源により変動するため,負荷が一定の場合,システムの出力が常に高く維持されるとは限らない。これらの問題を解決するために本論文では,温度変動に対して負荷を動的に変化させることで,(i)熱音響システムの自励発振を一定振幅に維持もしくは(ii) 出力を最大化する負荷のフィードバック制御系を提案する。具体的には,電力フィードバック進行波型熱音響発電機を対象として,(i) 電力フィードバック回路の負荷抵抗が開放から短絡状態に近づくと管内の圧力振幅が上昇することから,圧力振幅の目標値との偏差により負荷抵抗値を動的に変化させる定常発振制御系を構成する。更に(ii) 負荷抵抗値と発電電力の関係が凸型となることから,負荷抵抗値を摂動させることでその中心値を出力が増加する方向に変化させる極値探索制御系を構成する。制御実験の結果,熱源の温度によらず,(i) 圧力振幅が与えられた目標値一定となるように負荷抵抗値が自動調整されること,(ii) 発電電力が増大する方向に負荷抵抗値の中心値が自動調整されることを示す。

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