Doinikov の最近の研究成果である, 粘性の効果を含めた音響放射力の理論 [Proc. R. Soc. Lond. A 447, 447-466 (1994), J. Fluid Mech. 267, 1-21 (1994)] をもとに, 平面進行波内の微小粒子に作用する放射力の計算を行った。密度, 及び音速の異なった2種類の微粒子として, アルミニウム球, 水素気泡を選んだ。完全流体を仮定した理論では, 微粒子に作用する放射力の方向は常に音波の伝搬方向であったが, Doinikov の理論に基づく計算の結果, 粒子径が小さくなると音源方向へ引き寄せられることが示された。そこで水中, 周波数50kHzの進行波音場内の水素気泡を用いての検証実験を行った。その結果, 半径35μm以下の気泡が実際に音波方向へ運動する様子が見られた。定性的には理論と実験とで一致するような結果になった。
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