英語弱化母音/〓/の音響・調音特徴の記述と日英母語話者による相違の解明を目的として,英語母音/〓,〓,〓,〓/を対象に定量的分析を行った。分析にはX線マイクロビームデータベースを用い,"X-ray microbeam speech production database"から英語話者16名,その日本語版から日本語話者9名を選出した。各母音は単語発話より抽出し,持続時間,第1・第2フォルマント周波数,舌ペレット位置を計測した。結果を以下にまとめる。1)両母語話者とも/〓/の持続時間は/〓,〓/よりも短い。2)/〓/において,英語母語話者では舌の上下・前後方向に中舌化するが,日本語母語話者では上下方向のみである。3)英語母語話者のみ/〓/が後続子音へ調音同化するが,これは日英の音韻的な母音カテゴリに起因する。
抄録全体を表示