本論文では,能動騒音制御システムを安定して始動させるステップサイズの自動調整法の一つを提案する。このステップサイズの調整は通常,システムの運用前に2次系の特性に合わせて手動で行われる。その自動化を本論文では,騒音制御フィルタの係数をブロック実行型学習同定法で更新する構成とし,音響エコーキャンセラのダブルトーク対策として提案されているステップサイズ制御法を利用して行う。騒音の一方的な増加は,この制御法を適用することによって抑えられる。また,設定されたステップサイズが適切でないことを騒音制御フィルタの係数変化の大きさから判断し,その場合にはステップサイズが小さく算定される方向に調整する機能を上記制御法に加える。騒音低減効果は,その調整を繰り返すことによって安定する方向に向かう。この調整法の有効性は最後に,シミュレーションによって確認される。
これまで従来楽器とは異なるインタフェースによって容易に演奏できることを目指した電子楽器や,コンピュータが楽器の演奏練習を支援するシステムを開発する研究が行われてきた。しかし,演奏者がそれらを使って演奏練習をしたいかは調査されたことはなかった。本報では大学生を対象に楽器演奏に対する意識調査を実施して,電子楽器や演奏練習支援のニーズを調査した。その結果,演奏技術の難しさを理由に楽器をやめた学生や,演奏者が思ったような演奏ができると楽しく感じる学生がいた。更に,音の表現が制限されるが演奏が容易な電子楽器やその演奏練習支援システムに肯定的な学生が約半数おり,そのうち約80%はそれらの併用に肯定的だった。