映画などの映像作品の制作時において台詞終わりに音楽を付加する際に,最適な音楽の付加時点を明らかにするための印象評定実験を行った。音楽の最適付加時点は,台詞直後の時点ではなく,「怒り」の感情を表した台詞では0.5秒前後,「愛」の感情を表した台詞では1秒前後,「悲しみ」の感情を表した台詞では1.5秒前後の「間」をおいてからの時点であった。同時に実施した台詞のインパクトの印象評定実験により,音楽付加のタイミングの良さと台詞のインパクトに高い相関があり,最適な時点で音楽を付加した場合に台詞のインパクトが最大になることが分かった。本研究により,台詞と音楽をつなぐための「間」の最適な長さが,「台詞の表す感情」ごとに異なることが分かった。
熱音響システムにおいて,自励発振が生じる最小の温度比である臨界温度比を計測することはシステムの評価や改善設計を行う上で重要である。臨界温度比を実験的に推定する研究が行われているが,臨界温度比前後の全領域で同一の測定手法を適用し,臨界温度比を議論した研究は行われていない。本研究では定在波型熱音響エンジンにおいて,各温度比で管内圧力が一定となるよう音源で強制加振を行う定常発振制御系を提案する。これにより,臨界温度比の前後に渡って同一の測定手法を適用し,ある一つの物理量(フィードバックゲイン)に基づいて臨界温度比を議論できる。実際に,温度比と時変ゲインが直線関係を持つことから,臨界温度比及び所望の圧力振幅でエンジンを駆動するための温度比が実験的に推定可能であることを示す。