日本音響学会誌
Online ISSN : 2432-2040
Print ISSN : 0369-4232
78 巻, 11 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
論文
  • 谷出 健一, 森 幹男
    2022 年 78 巻 11 号 p. 622-627
    発行日: 2022/11/01
    公開日: 2022/12/01
    ジャーナル フリー

    口笛の基本周波数は,ほとんどが500 Hz~5kHzの範囲に収まっているという報告がある。このような一般的な口笛は,Pucker whistleと呼ばれ,口唇部をすぼめる方法で吹鳴される。一方,ヒューマンビートボックスで用いられるHollow whistleと呼ばれる口笛吹鳴法では,Pucker whistleより口唇部の開きが大きく,その基本周波数は500 Hzより低い。この低音域口笛を簡単に吹鳴する方法が明らかとなり,音域を拡大できれば,口笛演奏における表現の幅が広がる。本論文では,声道模型を用いて500 Hz以下の低音域口笛吹鳴法の検討を行った結果について述べる。/a/以外の日本語母音の声道形状モデルを用いることによって,低音域口笛吹鳴時の音域を拡大できることが新たに確認された。

  • ――消音対象を純音とした場合――
    下倉 良太, 大谷 潤一朗, 飯國 洋二
    2022 年 78 巻 11 号 p. 628-634
    発行日: 2022/11/01
    公開日: 2022/12/01
    ジャーナル フリー

    アクティブノイズコントロールを搭載した既存のヘッドホンは,ユーザの耳介を筐体で覆うため,環境騒音だけでなく聞く必要のある音(音声やアラーム)も遮蔽・消音する。この聴取音の選択性を確保するため,我々は軟骨伝導を応用したアクティブノイズコントロールを提案する。軟骨伝導とは耳介や外耳道を形成する耳軟骨の振動により音情報を伝える伝導経路であり,耳をふさぐことなく音聴取が可能である。本研究は周期性雑音の消音に特化したDelayed-X Harmonics Synthesizerアルゴリズムを使用し軟骨伝導音を二次音源として利用することで,同時に流れる音声の劣化を抑制しつつ,純音のみを12から15 dB消音した。今後はこのシステムを純音以外にも拡張し,外耳道を開放したまま使用できるアクティブノイズコントロールの実現を目指す。

  • 黒坂 優美, 大嶋 拓也, 平栗 靖浩, 奥園 健
    2022 年 78 巻 11 号 p. 635-645
    発行日: 2022/11/01
    公開日: 2022/12/01
    ジャーナル フリー

    地表面音響特性の広域における空間分布データは,未整備である。そこで,ハイパスペクトル航空画像を用いて地表面をその音響特性に応じて分類する手法を開発する。3季節に複数種の地表面の音響特性を測定し,実効的流れ抵抗を推定して地表面の状態の分類クラスを決める。教師付き分類手法のMED-SD法を用い,教師スペクトルと適用する画像の撮影季節を12パターンに組み合わせ,分類精度を評価する。最後に,886m × 445mの範囲を分類する。その結果,秋に撮影した航空画像から求めた教師スペクトルが最も分類に適した。これにより,広域の地表面の音響特性を実際の状態に基づき,的確かつ効率的に設定できる可能性が示された。

研究速報
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