近年,濡れた布に含有する水分を乾燥させるために,超音波振動子に直接接触させて乾燥を行う研究がされている。しかし,この方法では超音波振動によって生地等の劣化が考えられる。筆者らは空中強力超音波源を用いて空中に強力な定在波音場を形成し,音場内に濡れた布を設置して,非接触での乾燥の促進について検討している。本論文では,空中強力定在波音場内にて濡れた布の乾燥を行い,これまでほとんど検討されていなかった乾燥中の試料の温度について検討した。その結果,空中強力超音波を用いた乾燥は,音波を照射しない場合の乾燥(自然乾燥)と同様に,試料の温度がほとんど上昇しないまま乾燥を促進できることが明らかとなった。