ハンズフリーでの遠隔通信会議において, エコーやハウリングの諸問題を解決するために, 適応フィルタを用いた音響エコーキャンセラが広く用いられてきている。通信会議の利便性向上のために, スピーカとマイクロホンを同一筐体に収めたハンズフリー通話装置が望まれているが, このような装置では, スピーカとマイクロホン間の距離が短いため, スピーカからマイクロホンに回り込む音響エコーが増大し, 音響エコーキャンセラの制御が困難になる。本論文では, 音響エコー増大の問題に対して, 4マイクロホン構成の検討を行い, 各マイクロホン出力信号の位相を制御することにより, スピーカから回り込む音響エコーを約12dB低減しながら, 全指向性を持つスピーカ・マイクロホン一体型装置を実現した。
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