自動車エンジンのノッキングを検知する素子として2008年まで主流であった本センサは,圧電ディスクと,より半径の大きい円形金属振動板を接着し,その共通の中心をエンジンに結合する導波棒に固定した堅牢な構造を持つ。金属円環部の外周自由端において,実質的中性面が振動板の厚さの中心を通るはずであるという仮説に基づき,厚さに段差のある構造の振動特性を理論解析している。基本共振周波数,感度,共振利得Qの理論値が実測値とよく一致する。ノックセンサの広帯域特性はQの低減によって得られる。本研究のノックセンサではQを片持ち梁型の半分に減らせるので,感度を維持したまま,目標とする広帯域特性を得ることができる。