パラ言語がどの程度安定して伝達され得るかを中心に, 3名の話者の音声を3名の被験者が評価する実験を行い, 結果を考察した。実験では, 自然な対話から得た音声試料に対し, 三つのパラ言語的特徴(声の高さ, 大きさ, 発話速度)の変化に着目し, パラ言語が伝達されている箇所にラベルを付した。実験の結果からパラ言語の存在の判断基準には個人差があるが, 判断基準は共有化し得ることを示した。また, パラ言語が存在するとした箇所のうち, 韻律との区別が困難な箇所は少なく, 両者は独立した知覚対象と言えることを示した。更に, 特徴間の比較考察から, パラ言語に対する了解性は特徴間で差があることを示した。最後にラベル付けの結果と音響パラメータ(変化量)間に相関が見られることを述べた。
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