本論文では,音声インタフェース装置の利用で問題となる環境雑音の特徴分析を行うために構築した,実環境雑音データベース(ATR実環境雑音DB: ATRANS)に関して述べる。本DBでは,音声インタフェース装置の利用が予想される広範囲の雑音環境で長時間の連続収録をしている。また,雑音の対数エネルギーの分散,歪度,尖度,エントロピーといった統計的特徴量と雑音モデルの長時間分析から,雑音の発生頻度,発生状況の変化により,時間的に変動する雑音種別があることを示す。雑音モデル分析では,雑音種別ごとに分布の表現に必要な混合分布数と雑音モデルの学習に必要な雑音データ長を示す。その結果,雑音の特徴分析には数十分単位の長時間のデータが必要であることを示す。
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