シンバルは薄板の幾何学的非線形性により打叩の強弱で音色が大きく変化するが,サンプリング音源を利用する電子楽器はこれを十分には再現できない。非線形性に起因するモード間エネルギー遷移を考慮して適切にモデル化しシンバル音を合成すれば,自然な音色変化が再現できると期待される。本研究では,シンバル音をリアルタイム合成する簡易な音響モデルを開発することを目的とし,非線形に起因する高次モードの発生及び各モードの減衰率を測定した。また,測定したパラメータを用いた音響モデルでシンバル音を合成した結果,エンベロープ等が実測波形とよく一致し,初期振幅に応じた音色変化を再現できることを確認した。
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