閉空間中の音線をハミルトニアン形式で解析する方法の一つとして,音線の閉じ込めポテンシャルを用いた解析手法を提案している。幾つかの境界形状の音場に対して閉じ込めポテンシャルを具体的に構成して音線軌道を計算し,その力学的な性質をポアンカレ断面とリャプノフ指数を用いて議論した。その結果,今回計算した単純な境界形状では媒質の非一様性に起因して音線にカオスとトーラスが現れるのに対し,不整形な場合ではカオスのみが観察され音線が混合性を有することが示唆された。また,提案手法を用いて音響エネルギーの減衰時間の計算を行った結果,EyringやMortessagneの予測公式との良い一致が見られた。
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