本研究グループでは,動脈壁の弾性特性を評価するために,拍動に伴う数十μm以下の微小な頸動脈壁の厚み変化を位相差トラッキング法を用いて計測し,弾性率断層像を得ている。本論文では,3次元空間における超音波パルスの伝搬を計算機で模擬し,動脈壁の微小厚み変化計測の精度評価を行う。血管中心軸を超音波走査面が通過しない場合に生じる精度低下を検討し,超音波走査面が血管中心軸と交わることの重要性を示す。また,in vivo実験において,上記の計算機模擬実験と同様の評価を行い,超音波診断装置のBモード像で血管内膜を明瞭に認識できるならば,厚み変化計測の精度が保証されることを示す。
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