音楽訓練を受けた者のうち絶対音感保有者が旋律を記憶する際の各音の記憶難易度を調べ, その要因を探る実験を行った。実験素材には調性的旋律と非調性的旋律を用いた。系列位置, 音階上の機能 (又は音名の違い), 音価, 音程, 白鍵音と黒鍵音の違い, の5項目について調べたところ, どちらの旋律でも系列位置と音階上の機能 (又は音名) が記憶難易度に影響を及ぼす主要な要因であることが分かった。非調性的旋律の場合, あえて特定の調にあてはめた上での記憶が行われたと考えられる。数量化理論I類による分析の結果, 二つの要因によって調性的旋律では各音の正答率の81%, 非調性的旋律の場合は84%を説明できることが明らかとなった。
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