超音波計測で生体の柔組織に適用される伝搬時間法(time of flight method)を骨のような硬組織に応用する方法について述べる。本研究はその第一歩として、対象を大腿骨に制限し、等方性の同心円筒であるという予備知識をもとに、その音速、内径、及び、外径の測定を行う方法を検討した。円筒の軸に垂直な断面内での2次元問題とし、円筒は対向する送波器と受波器の間に置かれ、それを透過する超音波の伝搬時間を多数点で測定する。その値を満足する伝搬経路の解を2元のニュートン法を用いて求めることにより、上記パラメータを得る。ファントムとして、アクリルの円筒を用いた実験では、その外径を誤差、約1.0%、標準偏差約1.2×10^-2で測定できた。