近年の住宅の居室は,遮音性能の向上や家電製品の低騒音化により,非常に静かな空間になりつつある。その一方で,これまでは騒音によってマスクされていた残響音が聞こえ易くなり,居室における会話に悪影響を及ぼすことが懸念される。本研究では,居室における「会話」に支障のない残響音の条件を明らかにすることを目的とした主観評価実験を行った。その結果,以下を明らかにした。(1)「聴取」よりも「発話」のほうが残響音の影響を受け易い。(2)「発話」と「会話」に対する残響音の影響は同程度である。(3)本実験で用いた音場の範囲では,「聴取」,「発話」,「会話」のいずれにおいても,残響時間を0.3s程度にすれば響きが気になることはない。
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