日本消化器外科学会雑誌
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49 巻, 10 号
選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
原著
  • 深澤 智美, 橋口 陽二郎, 上野 秀樹, 神藤 英二, 梶原 由規, 久保 徹, 山本 順司, 長谷 和生
    原稿種別: 原著
    2016 年 49 巻 10 号 p. 935-942
    発行日: 2016/10/01
    公開日: 2016/10/20
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     目的:大腸癌術後に発症した晩期イレウスの実態を明らかにし,そのリスク因子を検討する.方法:手術施行後同一入院期間中に発症したものを早期イレウス,退院後に発症したものを晩期イレウスと定義し,当教室で1994~2009年の間に施行した大腸癌初回手術2,434例を対象とした.結果:平均観察期間は45.7か月(標準偏差:28.9か月)であった.159例,6.5%に晩期イレウス発症を認めた.初回発症時期は術後1年以内が54.1%であったが,5年以降の発症も10.7%を占めていた.発症と相関する因子は術式,他臓器合併切除,早期イレウスの既往であった.多変量解析でも術式(骨盤内臓全摘,ハルトマン手術),他臓器合併切除,早期イレウスの既往が独立したリスク因子であった.治療方法では,単純性イレウスでも累積発症回数が増加するに従い手術を必要とする割合が増加した.結語:晩期イレウスは長期にわたる合併症であり,そのリスク因子は骨盤内臓全摘,ハルトマン手術,他臓器合併切除および早期イレウスの既往である.

  • 藤井 研介, 新田 敏勝, 川﨑 浩資, 片岡 淳, 石橋 孝嗣
    原稿種別: 原著
    2016 年 49 巻 10 号 p. 943-952
    発行日: 2016/10/01
    公開日: 2016/10/20
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     目的:緊急手術を要する大腸穿孔症例において,簡便に施行できる術後合併症および予後予測因子の評価法を究明することを目的に検討を行った.方法:2007年3月から2015年4月までに緊急手術を施行した大腸穿孔36例を対象とした.対象を合併症群(22例)と非合併症群(14例),救命群(27例)と死亡群(9例)に分け,患者因子(年齢,性別,術前併存疾患,BMI,骨格筋量),術前因子(白血球数,リンパ球数,CRP値,アルブミン値,手術までの時間,systemic inflammatory response syndrome(SIRS)の有無,APACHE II score),術中因子(手術時間,術中出血量,腹腔内便汁汚染の有無,悪性腫瘍による穿孔の有無)について,比較検討した.結果:大腸穿孔術後合併症発生率は61.1%であり,単変量解析ではアルブミン値(P=0.027)と骨格筋量(P=0.044)が術後合併症のリスク因子であった.また,大腸穿孔術後死亡率は19.4%であり,単変量解析では,年齢,骨格筋量,アルブミン値およびAPACHE II scoreが予後関連因子となり,さらに多変量解析では,骨格筋量の低下のみが独立した予後因子として抽出された(P=0.047).結語:当院における大腸穿孔緊急手術症例において,骨格筋量の低下は独立した予後不良因子であった.今回使用したCT画像による骨格筋量測定は,術直前に簡便に施行可能であり,予後予測の評価に有用であると思われた.

  • 渡邊 将広, 木下 敬弘, 芝崎 秀儒, 海藤 章郎, 西田 俊朗
    原稿種別: 原著
    2016 年 49 巻 10 号 p. 953-962
    発行日: 2016/10/01
    公開日: 2016/10/20
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     目的:高齢者胃癌に対する腹腔鏡下胃切除術の安全性を検討する.方法:2010年1月から2013年12月に当院で腹腔鏡下胃切除術を施行したcStage Iの胃癌患者443例を対象とした.75歳以上をA群(78例),75歳未満をB群(365例)とし,患者背景因子,手術関連成績に関して後方視的に比較検討を行った.結果:術前併存疾患罹患率はA群で有意に高かった.術式,手術時間,出血量は2群間で有意差は認めなかったが,D2郭清の割合がA群で低く,郭清リンパ節個数はA群で有意に少なかった.全合併症(Clavien-Dindo分類Grade II以上)はA群で多かったが,Grade IIIa以上の合併症は2群間で有意差は認めなかった.合併症別では,呼吸器合併症がA群で有意に多く,腹腔内感染性合併症(縫合不全,膵液瘻,腹腔内膿瘍)に関しては有意差は認めなかった.多変量解析の結果,BMI 24 kg/m2以上,手術時間210分以上が術後合併症の独立予測因子であり,年齢は独立予測因子ではなかった.3年全生存率はA群96%,B群98%で,2群間で有意差はなかった.再発例はA群で1例も認めていない.結語:75歳以上高齢者のcStage I胃癌に対する腹腔鏡下胃切除術の短中期成績は75歳未満とほぼ同等であり,基本的には安全に施行可能と考えられた.

  • 今野 卓朗, 藤島 史喜, 石田 裕嵩, 伊東 賢, 小澤 洋平, 櫻井 直, 中野 徹, 亀井 尚, 笹野 公伸
    原稿種別: 原著
    2016 年 49 巻 10 号 p. 963-970
    発行日: 2016/10/01
    公開日: 2016/10/20
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     食道類基底細胞癌は,組織型学的に粘膜下層を主体として発生し,表層を非腫瘍もしくは扁平上皮癌で被覆されることが多いため,術前の生検では扁平上皮癌として診断されることが少なくない.このため,類基底細胞癌に対しても扁平上皮癌に準じて術前に化学療法もしくは化学放射線治療を実施されることがある.一方,これまでに類基底細胞癌主体の症例のみを抽出し,類基底細胞癌に対する術前加療の効果を評価した報告は少ない.目的:類基底細胞癌主体の症例25例から,腫瘍に対する術前加療後の形態学的な変化を評価し,また術前加療の有無による予後の変化を比較する.方法:術前加療を行い,外科的切除した類基底細胞癌4症例と術前未治療の21例の臨床病理学的因子を比較検討した.結果:術前加療を行うことで4例中3例に病理組織学的治療効果が認められた.臨床予後に関しては,病期の進行している症例で予後が改善する傾向にあったが,統計学的に有意な改善はみられなかった.結語:食道類基底細胞癌に対する術前加療の有効性を統計学的に示すことはできなかったが,予後が改善される可能性が示唆された.

症例報告
  • 大山 莉奈, 塩谷 猛, 小峯 修, 南部 弘太郎, 渡邉 善正, 渋谷 肇
    原稿種別: 症例報告
    2016 年 49 巻 10 号 p. 971-978
    発行日: 2016/10/01
    公開日: 2016/10/20
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     症例は75歳の女性で,筋委縮性側索硬化症にて他院に通院中であり嚥下機能低下に対し1年前に胃瘻造設術を施行されていた.急激な腹部膨満を認め腸閉塞の疑いで当科へ搬送され精査の結果胃軸捻転症の診断となった.同日緊急で開腹胃壁固定術を施行し,再度胃瘻の使用が可能となった.難治性神経疾患を持つ患者の場合は,胃瘻造設後これを軸として胃軸捻転症を発症する可能性があり,急性腹症の鑑別の一つとして考慮すべきであると考え報告する.

  • 高橋 裕季, 渡邊 透, 栃本 昌孝, 堀口 雄大, 大島 正寛, 加藤 秀明, 川口 雅彦
    原稿種別: 症例報告
    2016 年 49 巻 10 号 p. 979-988
    発行日: 2016/10/01
    公開日: 2016/10/20
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     Gastrointestinal stromal tumor(以下,GISTと略記)の術後再発に対する治療はイマチニブ投与が原則であるが,イマチニブの継続投与により耐性が生じると考えられており,イマチニブ耐性GISTの治療方針を検討する必要がある.イマチニブ投与を続けながら,計5回の外科切除を施行して長期生存を得られている症例を報告する.症例は64歳の男性で,2006年2月上腹部痛を主訴に当科受診した.精査の結果,胃GISTの診断となり胃部分切除を施行した.病理組織学的診断では,腫瘍の大きさ7.5×5.0 cm,核分裂像12/10 HPFとFletcher分類で高リスクであった.以降,GIST術後再発と転移に対してイマチニブ400 mg投与を断続的に続けながら計5回の手術を施行し,初回手術から109か月経過した現在,外来通院継続中である.

  • 遠藤 裕平, 小林 隆, 入江 彰一, 森 和彦, 南村 圭亮, 平田 泰, 真船 健一, 森 正也
    原稿種別: 症例報告
    2016 年 49 巻 10 号 p. 989-996
    発行日: 2016/10/01
    公開日: 2016/10/20
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     未分化多形肉腫は,組織学的に特定の分化傾向を示さず,多形性を呈する腫瘍として悪性線維性組織球腫が再分類されたものである.成人軟部肉腫の中で最も頻度が高いが,消化管原発例は極めてまれで,十二指腸原発のものはこれまでに6例が報告されているのみである.今回,我々は十二指腸原発未分化多形肉腫の1例を経験したので報告する.症例は69歳の男性で,心窩部痛精査の腹部造影CT・超音波内視鏡検査で十二指腸筋層外から膵頭部実質に浸潤する25 mm大の腫瘤を指摘された.超音波内視鏡下針生検(endoscopic ultrasonography fine needle aspiration biopsy;EUS-FNA)にて類円形・紡錐形異型細胞の充実性増殖を認め,肉腫や分化度の低い癌が疑われた.遠隔転移を認めず,膵頭十二指腸切除術を施行した.病理診断は十二指腸未分化多形肉腫であった.術後6か月で頸部と坐骨近傍の軟部組織,左副腎に転移を来したため,術後再発に対する化学療法としてdoxorubicin投与を開始し,現在術後10か月経過している.

  • 久保 洋, 柏田 知美, 能城 浩和, 北島 吉彦
    原稿種別: 症例報告
    2016 年 49 巻 10 号 p. 997-1005
    発行日: 2016/10/01
    公開日: 2016/10/20
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     症例は69歳の男性で,進行胃癌にて幽門側胃切除術,D2リンパ節郭清を施行した.最終病期はtub2,T3,N1,H0,P0,M0,CY0:Stage IIBであった.S-1による術後補助療法中に肝S4/5,S2に転移が出現したため,全身化学療法を三次治療まで行うも門脈腫瘍栓を生じprogressive diseaseであった.四次治療として肝動注化学療法を開始したが肺結核を併発したため,肝動注治療を中断し抗結核剤による治療を優先した.排菌陰転後,肝動注化学療法を再開したところ,門脈腫瘍栓・肝転移巣はともに完全消失した.1年間の肺結核治療を行い,肝動注化学療法10コース終了後1年間休薬中であるが無再発生存中である.門脈腫瘍栓を伴う胃癌肝転移は予後不良とされるが,再発が肝内に限局している場合,肝動注化学療法は有効な治療の一つであると考えられた.

  • 北見 智恵, 河内 保之, 五十嵐 俊彦, 牧野 成人, 西村 淳, 川原 聖佳子, 新国 恵也, 原田 憲一
    原稿種別: 症例報告
    2016 年 49 巻 10 号 p. 1006-1015
    発行日: 2016/10/01
    公開日: 2016/10/20
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     症例は65歳の女性で,腹部超音波検査で肝腫瘍を指摘された.ダイナミックCTで肝S5に18 mm大の辺縁は早期に中央は遅延造影される腫瘤を認め内部に門脈枝が貫通していた.良性疾患として経過観察されたが9か月後腫瘤が24 mmと増大し手術の方針となった.血液生化学検査所見ではCA19-9 83.7 U/mlと上昇,HBV-Ag(−),HCV-Ab(−)であった.肝S5部分切除を行った.病理学的所見は胆管上皮類似の腫瘍細胞が豊富な間質を伴いつつ管状,樹枝状に増殖,内部に既存の門脈域が埋没し,免疫組織染色検査ではCK7,CK19,NCAM陽性,Hep-Par1,AFP陰性,EMAが腺管構造の腺腔で膜状に染色され細胆管細胞癌と診断された.背景肝に慢性肝疾患の像は認めなかった.細胆管細胞癌は比較的まれな腫瘍で慢性肝障害を背景として発症することが多いとされている.正常肝に発症した1例を経験したので報告した.

  • 小松原 隆司, 藤本 康二, 桂 彦太郎, 錦織 英知, 古角 祐司郎, 小泉 直樹, 上原 徹也, 石井 正之, 東山 洋
    原稿種別: 症例報告
    2016 年 49 巻 10 号 p. 1016-1022
    発行日: 2016/10/01
    公開日: 2016/10/20
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     症例は74歳の男性で,腹部膨満感を主訴に受診した.腹部CTにて腹腔内に多量の腹水の貯留を認め,膵尾部の3 cmの囊胞性病変との交通が疑われた.腹水穿刺を行ったところ,粘調度の高い腹水が吸引された.内視鏡下逆行性膵管造影検査では開大した乳頭から粘液の流出を認め,膵尾部に主膵管と交通する囊胞性病変と膵尾部主膵管の拡張を認めた.膵管内乳頭粘液性腫瘍(intraductal papillary mucinous neoplasm;以下,IPMNと略記)の破裂による腹膜偽粘液腫と診断し,膵体尾部切除,脾臓摘出術,腹腔内粘液除去を行った.腹腔内には多量の黄色のゼラチン様物質が貯留し,膵囊胞の破裂部から盲囊内へと連続する瘻孔を認めた.病理組織学的検査所見では主膵管および分枝膵管にかけて粘液性高円柱状の異型細胞が増殖しており,膵管内乳頭粘液腺癌の破裂による腹膜偽粘液腫と診断した.IPMNは近接他臓器に穿破することがあるが,遊離腹腔へ穿破し腹膜偽粘液腫となることは非常にまれである.

  • 萩野 茂太, 的場 美紀, 庄司 泰弘, 森田 晃彦, 岩田 啓子, 桐山 正人
    原稿種別: 症例報告
    2016 年 49 巻 10 号 p. 1023-1028
    発行日: 2016/10/01
    公開日: 2016/10/20
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     症例は57歳の男性で,52歳時にpStage III膵尾部癌に対してリンパ節郭清を伴う膵体尾部切除術を施行し,術後補助化学療法を追加した.術後3年10か月で多発肺転移・肺門リンパ節転移が出現し化学療法を開始した.化学療法中に嚥下障害が出現したため,頭部CT・MRIを施行したところ,右後頭骨に不整な腫瘤を認めた.嚥下障害の原因は頭蓋骨転移による舌下神経麻痺と診断し,骨転移巣に定位放射線治療を施行したが効果は得られなかった.最終的に術後4年8か月で永眠された.膵癌の頭蓋骨への転移はまれであるため報告する.

  • 前田 真吾, 湯浅 典博, 竹内 英司, 後藤 康友, 三宅 秀夫, 永井 英雅, 吉岡 裕一郎, 宮田 完志, 藤野 雅彦
    原稿種別: 症例報告
    2016 年 49 巻 10 号 p. 1029-1038
    発行日: 2016/10/01
    公開日: 2016/10/20
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     症例は69歳の男性で,下部食道癌(LtAeMtU,cT3cN4cM0,cStage IVa)に対し,化学放射線療法が施行された.加療中に腹痛が出現し,CTで腹水,free air,小腸壁の限局性肥厚を認めたため緊急手術を行った.混濁腹水と多発性の小腸壁の限局性肥厚を認め,全長約80 cmの小腸を切除した.切除標本では長さ4~5 cmのびらん潰瘍面を伴う全周性壁肥厚を6か所に認めた.病理組織学的に異型扁平上皮細胞が小腸壁の全層に浸潤し,高度のリンパ管侵襲像を伴うことからリンパ行性転移による食道癌多発性小腸転移と診断した.食道癌小腸転移の本邦報告21例を検討すると,小腸転移は食道癌の診断後,腸閉塞,穿孔を契機に診断されることが多く,38%が多発し,多くは潰瘍限局型腫瘍を呈する.血行性あるいはリンパ行性転移が推測され,50%生存期間5か月と予後は極めて不良である.

  • 井ノ口 健太, 青山 紘希, 近藤 祐平, 横山 大受, 矢内 勢司, 橘 強, 中右 雅之, 岡部 寛, 光吉 明, 柳橋 健
    原稿種別: 症例報告
    2016 年 49 巻 10 号 p. 1039-1044
    発行日: 2016/10/01
    公開日: 2016/10/20
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     症例は38歳の男性で,3日前からの腹痛を主訴に当院消化器内科を受診した.腹部造影CTにて回盲部型の腸重積と診断,緊急入院となった.下部消化管内視鏡検査にて粘膜下腫瘍様の腫瘤を先進部とする腸重積であることが判明した.重積は内視鏡検査にて解除されたが腸重積を繰り返す可能性を考え,イレウス管留置の後に入院2日目に回盲部切除術を施行した.切除標本にてポリープ状に突出,延伸したバウヒン弁を認めた.腫瘍性変化は認められなかった.このため,浮腫状に腫大したバウヒン弁を先進部として発症した腸重積と診断した.術後13日目に軽快退院した.腫瘍性病変を認めないバウヒン弁を先進部とした腸重積はまれであり,報告する.

  • 今泉 健, 本間 重紀, 吉田 雅, 下國 達志, 崎浜 秀康, 高橋 典彦, 川村 秀樹, 畑中 佳奈子, 武冨 紹信
    原稿種別: 症例報告
    2016 年 49 巻 10 号 p. 1045-1052
    発行日: 2016/10/01
    公開日: 2016/10/20
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     症例は49歳の女性で,検診で便潜血陽性を指摘され,当院受診した.既往歴,家族歴に特記事項はなかった.下部消化管内視鏡検査では横行結腸右側に全周性の3型病変を認めた.生検では低分化腺癌であった.CTでは横行結腸に造影効果のある腫瘤性病変を認めたが,明らかなリンパ節・遠隔転移は認めなかった.進行横行結腸癌と診断し,結腸右半切除,D3郭清術を施行した.病理組織検査で,内分泌細胞癌,T,circ,3型,pT4b(上行結腸間膜),int,INFb,ly2,v2,pN0(0/66),pStage IIであった.腺癌の成分も併存しており,mixed adenoneuroendocrine carcinoma(以下,MANECと略記)と診断した.術後2か月目より補助化学療法(イリノテカン+シスプラチン)を6クール行った.術後7年6か月無再発生存中の横行結腸MANECの1例を経験した.

臨床経験
  • 松本 謙一, 遠藤 俊治, 中島 慎介, 太田 勝也, 中川 朋, 小西 健, 池永 雅一, 山田 晃正, 西嶌 準一
    原稿種別: 臨床経験
    2016 年 49 巻 10 号 p. 1053-1058
    発行日: 2016/10/01
    公開日: 2016/10/20
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     目的:幽門狭窄のある胃癌に対する胃十二指腸ステント留置術後の幽門側胃切除術の成績を後方視的に検討した.方法:2011年10月から2014年9月までに当院で胃十二指腸ステント留置術を施行した胃癌による幽門狭窄症例のうち,幽門側胃切除術を施行した6例を対象とし,臨床背景,手術前の化学療法,手術結果,予後について検討した.結果:ステント留置後,5例に化学療法を施行した.緩和的切除症例を除いた5例で非切除因子を認めず,根治手術を施行した.再建はRoux-en-Y法が4例,B-I法が2例であった.癌の遺残はR0が4例,R1が1例,R2が1例であった.病理診断はCRが1例,Stage IIIBが1例,Stage IIICが2例,Stage IVが2例であった.術後合併症はなかった.結語:幽門狭窄のある胃癌に対する胃十二指腸ステント留置後に幽門側胃切除術を合併症なく施行できた.その適応および安全性についてはさらなる症例の蓄積が必要である.

編集後記
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