日本畜産学会報
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29 巻, 3 号
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  • 細田 達雄
    1958 年 29 巻 3 号 p. 135-143
    発行日: 1958年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • IV. 皮の含水量と溶液比とがタンニン吸着量に及ぼす影響
    佐藤 泰
    1958 年 29 巻 3 号 p. 144-146
    発行日: 1958年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    1. 皮組織のタンニン酸吸着に及ぼす皮の水分含量,ならびにタンニン酸溶液容量に対する皮の重量比の影響について実験した。
    2. 皮の水分含量のいかんにかかわらず,タンニン酸吸着量は140時間後に一定になるが,その吸着量は,皮の水分含量が59%以下になると著しく少なくなり,60~74%の間ではほとんど変化なく,75%以上ではやや多くなる。
    3. この実験の範囲においては,タンニン酸溶液容量に対する皮重量が少ないほど,単位皮蛋白質量に対するタンニン酸吸着量は多くなる。この吸着量と溶液比と分関係は,全体に対しては直線的でないので,実験値より各条件に対する補正表を作成した。
  • V. 皮のタンニン酸吸着量に及ぼす可溶性蛋白質の影響
    佐々木 林治郎, 佐藤 泰
    1958 年 29 巻 3 号 p. 147-150
    発行日: 1958年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    1. 家兎皮を用い,皮のタンニン酸吸着に及ぼす食塩可溶性蛋白質およびアルカリ可溶性蛋白質の影響について実験した。
    2. 皮の食塩可溶性蛋白質は,原則として,タンニン酸吸着を妨げる二となく,むしろ吸着量を多くする。ただし可溶性蛋白質の除去によつて吸水量が多くなると,間接に吸着量は多くなる。
    3. 皮のアルカリ可溶性蛋白質は,皮のタンニン吸着を妨げることなく,むしろ吸着量を多くする。ただし同時に皮コラーゲンのアルカリによる変化が起これば,それによつて吸着量は間接に増加する。
  • II 牛の皮膚温について
    大井 澄雄, 岡部 利雄
    1958 年 29 巻 3 号 p. 151-156
    発行日: 1958年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    牛の皮膚における温度分布の状態を明きらかにしようとして,牝牛5頭を使用し,気温20°Cにおける28部位の皮膚温を10回測定し,次の結果を得た。
    1. 牛の正常時皮膚温は,尾根部において最高を示し耳根部は比較的高く,鼻端部は比載的低く,また体の中央部より末端にいくに従つて低くなり,角質化した蹄壁および蹄球において最低を示す。
    2. 対応する部位において,牛の皮膚温平均値は,馬のものよりも一般に高い傾向がある。
    さらに皮膚温に対する気温の影響の程度を明きらかにするために,気温5~30°Cの範囲において,5頭の牛につき延べ89回の皮膚温測定を行ない,次の結果を得た。
    1. 皮膚温に対する気温の影響は,いずれの部位においてもきわめて明瞭であることが確認された。
    2. 皮膚温に対する気温の影響の程度は,体の末端,角質化した蹄壁および蹄球において最大で,これより体の中央部に近づくに従つて小となり,尾根部においては最小であつた。
    3. 気温-皮膚温間相関係数と正常時皮膚温との相関はγ=-0.80であつて,明きらかに有意の負の相関を示した。すなわち正常時皮膚温が低い部位ほど気温の影響を受けやすい傾向があった。
  • III 緬羊の皮膚温について
    大井 澄雄, 岡部 利雄
    1958 年 29 巻 3 号 p. 157-162
    発行日: 1958年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    緬羊の皮膚における温度分布の状態を明きらかにしようとして,緬羊6頭を使用し,気温20°における28部位の皮膚温を12回測定し,次の結果を得た。
    1. 緬羊の正常時皮膚温は,牛馬と異なり,躯幹の各部•耳根部•頚部•肩端部および前膊部はほぼ等温を示し,以下,四肢および頭の先端にいくに従つて低下し,蹄壁および蹄球において最低を示す。この特徴は,緬羊が牛馬と異なる緬毛をもつことによるものと考えられる。
    2. 対応する部位において,緬羊の皮膚温平均値は,牛馬のものより高い傾向がみられる。
    さらに,気温の皮膚温に対する影響の程度を明きらかにするために,気温5~31°の範囲において,6頭の緬羊につき,延77回の皮膚温測定を行ない,次の結果を得た。
    1) 皮膚温に対する気温の影響は,いずれの部位においても,きわめて明瞭であることが確認された。
    2) 皮膚温に及ぼす気温の影響の程度は,末端の角質化した蹄壁および蹄球において最大であり,これより体の中央部にいくに従つて小となり,温熱発生臟器に近接する部位において最小を示すが,緬毛に包まれた部位においては,気温の影響程度は,牛馬より小さいものと思われる。
    3) 気温-皮膚温間相関係数と正常時皮膚湯との相関はγ=-0.79であつて,明きらかに有意の負の相関を示.した。すなわち正常時皮膚温が低温である部位ほど,気温の影響を受けやすい傾向がある。
  • IV ミオグロビンの加熱変性の分光化学的観察
    安井 勉
    1958 年 29 巻 3 号 p. 163-167
    発行日: 1958年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    筋肉色素中のおもな成分の一つであるミオグロビン(Mb)の加熱変性の問題を研究することは,加熱肉製品中のMbの状態を推定する有意義な方法と思われるので,結晶馬Mbを用いて検討を試みた。その結果次のことが明きらかとなつた。
    1) Mbはヘモグロビンと異なり,1/10N NaOH溶液中でほとんど変性しない。
    2) 一酸化窒素Mbを加熱凝固させて,1/10N NaOH溶液中でとかすと,その吸光像は,未変性のもののそれと類似した像を示す。その他の誘導体の光学的性質も同様の傾向を示すことから,Mbの加熱凝固現象には可逆的な部分があると考えられる。
    3) 加熱凝固メトミオグロビン(met Mb)について,アルカリ処理後中和して,その変性からの回復率を予備的に色々な実験条件で観察した結果,沸騰水中で加熱した場合,蒸留水中では5分間で約80%,30分で約40%,1/15M燐酸緩衝液中では5分間で65%,30分で40%,3%NaCl液中では5分間ぞ約20%,30分以上で約14%が,来変性Mbの光学的特徴をもつたものとして回収された一方,70°で加熱した場合は,いずれの溶液中でもほとんど凝固が起こらず,その90%近くが未変性な形のままで存在していた。
    4) 加熱凝固met Mbから得られたMbは,未変性のものと同じように,色々なMb誘導体を形成し,その吸光像は,未変性Mbのそれと全く一致した傾向を示した。
    5) これらの事実から,Mbの加熱変性は2つの段階から成ることが推定された。
  • V. ミオグロビンの加熱変性機構について
    安井 勉, 星 和美
    1958 年 29 巻 3 号 p. 168-173
    発行日: 1958年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    1. メトミオグロビン(met Mb)の加熱凝固は一次反応的に進行し,その活性化エネルギーEは,一定pHではNaCl濃度に関係なく一定であつた。ここで算出されたEは,pH 6.9で168.1kcal/M, pH 6.0で142.8kca1/Mであった。
    2. met Mbの加熱変性は,蛋白質濃度,温度,加熱時間 pHおよびNaCl濃度によつて影響をうける。
    3. met Mbの加熱変性メカニズムについて検討を行ない,その変性段階は,M〓M※k1〓Mc k2→Mb(ただしMは未変性met Mb, M※は活性化されたmetMb, Mcは可逆的な変性段階にあるmet Mb, Mdは不可逆的な変性段階にあるmet Mb, k1およびk2はそれぞれの段階の反応速度)の式で表わされるものであると考えるに至つた。従つて,加熱凝固の速度恒数kdはk1である。
    4. pHはk1を一次反応的に律速し,塩濃度はk2を一次反応的に律速する。このことから,可逆的な変牲は,蛋白質分子内の水素結合が切れるだけの反応と推定きれた。
    5. 未変性のmet Mbは,70°まではそのN-末端アミノ酸残基に変化を示きないが,100°近くで30分加熱した場合,新しいアミノ酸残基の出現を示した。
    6. met Mbの加熱変性の各段階について,〓紙電気泳動法によつて検討を加えた結果,可逆的段階にあるmet Mbは未変性met Mbときわめてよく似た性質を示すが,不可逆的な段階から得たmet Mbは,明きらかに異なつた性質を示した。
    7. 第5および6項の事実は,不可逆的な変性が蛋白質分子構造内のかなりの変化をともなうものであることを示している。
  • 特に分注処理の効果について
    平林 忠, 一戸 健司
    1958 年 29 巻 3 号 p. 174-178
    発行日: 1958年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    The aim of these studies is to prove the practical effect of diethylstilbestrol (DESE) on cockerels to be raised as broilers. Nowadays, in Japan, cockerels are generally raised as broilers. In the case of White Leghorns, feed utility decreases extremely after 90 days of age. From an economical point of view DESE should be administered at the possible earliest period after birth. The authors examined effects of several combinations of injection times as well as one-time administration of whole dose. The resultsobtained are summarized as follows.
    1) The proper time of injection in White Leg horns was between 50 and 55 days of age (Tables 3 and 4). The younger a cockerel, the more divided dosage was effective for growth.
    2) The weight ratio increased in the liver and decreased in the heart and testicles, as was the case in the previous experiment. The more times the dosage of DESE was divided the longer the testicles remained in the juvenile state. But the injection car ried out too many times needed much time and caused lots of shock in chickens. The suitable number of times of injection was at most two.
    3) Quantity of meat was rather increased by injection, with no significant difference among the methods of treatment. The breast muscle increased as a result of injection, but the thigh muscle rather decreased.
    4) Little difference was found in meat Composi tion between the injected and untreated control birds. There was a great deal of fat deposition in the in jected cockerels.
  • 安田 徳治, 山田 二朗
    1958 年 29 巻 3 号 p. 179-183
    発行日: 1958年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    前報1)と同じ方法で,マウスおよびモルモツト摘出精管の運動性ならびに薬物に対する感受性の部分的差異を調べ,あわせて精管と精のうの運動性の比較を行なつた。
    さらに同様の事柄について,去勢ラツトの精管と精のうを用いて実験した。その結果,
    1. モルモツトの精管,精のうは自発運動を発現しやすく,これは薬物に対する感受性がマウスやラツトよりも高い2)という事実とともに,モルモツトの付属性器官の運動性が高いことを物語つている。
    2. マウスでは,アセチールコリン(Ach)およびアドレナリン(Adr)に対する精管の部位による感受性の差異が,ラット精管と似ていて,睾丸側が尿道側よりも高いが,モルモツトでは特にAchに対するこのような差異は見られなかつた。
    3. Achに対する感受性を精管と精のうについて比較すると,マウスでは,精のうは精管睾丸側よりも低く,尿道側とほぼ同じで,モルモツトでは両器官の間にほととんど差はなく,いずれもラツトの場合と趣を異にしている。Adrに対しては,ラツトの精管と精のうとの関係に似ていて,精管睾丸側と精のうの感受性はほぼ同じであつた。塩化バリウムに対する感受性は,マウスでは精のうが低く,10-4g/ccの高濃度でも反応はすべて陰性であつた。モルモツトにおいては,かかる差異は認められなかつた。
    4. 去勢ラツトの精管のAchに対する感受性は,両部分とも正常群よりも高いが,ことに尿道側で著しく,もはや部分的差異は認められなかつた。また精のうにおいては,去勢による変化が明きらかでなく精管の場合と異なつているが,去勢ラットの精のうはなお精管よりも感受性が大であつた。
    Adrに対するこの関係は,正常群におけると同様で,これはこの薬物に対するラツト精管の感受性が去勢によつても変化しないという以前の結果4)を強調するものである。
  • VII.グルコース還元液のアルカリによるクロム析出状況と陽荷電クロム量との関係
    先本 勇吉, 大杉 次男
    1958 年 29 巻 3 号 p. 184-187
    発行日: 1958年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    The glucose liquor was prepared by adding sulfuric acid to K2Cr2O7-glucose mixture with a different amount of glucose varying from the required amount for complete reduction to 200, 250 and 300% of the theoretically required amount under the best conditions for reduction efficiency.
    The precipitated chrome was determined by addition of an increasing volume of 0.1 N NaOH to 25 cc of 0.1% dilution of the chrome liquor. Then investigation was performed on the variation of maximum amounts of chrome precipitated by alkali and its relationship to the amount of cationic chrome which was absorbed by the cation exchanger, Dowex 50, X1.
    The results obtained are summarized as follows:
    1. The amount of precipitad chrome increased with the increase amount of alkali, reached the maximum value and then decreased, but a part of he chrome was not precipitated and remained in the liquor.
    2. The maximum precipitation amount, which was obtained by filtration after addition of alkali, nearly agreed with the amount of cationic chrome in the aged liquor.
    The agreement became less remarkable however, as the degree of dilution became higher.
    3. Both the maximum precipitation amount of chrome and the amount of cationie chrome showed the same tendency to decrease with the increase of glucose, but there was the difference of about 5% between them.
    It was found that 20-30% of total chrome contained in the glucose liquor used had not immed iately been precipitated by alkali.
    4. The maximum precipitation amount varied also with the amount of sulfuric acid.
  • I. 長期の無生殖腺期間が移植生殖線に及ぼす影響
    三須 幹男
    1958 年 29 巻 3 号 p. 188-193
    発行日: 1958年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    鶏において,移植生殖腺が,移植当時のその日令や移植部位および移植後の日数等により種々変異することについて,おもに組織学的な研究を実施した。使用鶏は大部分白色レグホーン種で,合計約1000羽である。長い無生殖卵期間を持つた宿主に移植した卵巣は,日令7日以下のものでは早急に退化,吸収されてしまい,日令の多いものでは活着するが,卵胞の発育は,胸筋に移植した場合が最高であつた。いずれの場合でも,早急に組織の変異をきたす。
    長期無生殖腺宿主移植精巣では,精細管の萎縮と間質の増生とがみられ,卵巣のような多様相を呈しない。
    卵巣において,黄体様細胞の発現するものが多数例みられたが,これは下垂体の生殖刺激ホルモンに関係があるものとみられる。以上の結果を要約すると,
    I. 卵巣移植の場合,
    1) 7日令以下の卵巣移植では活着(-)
    2) 7日令以上の卵巣移植では活着-黄体細胞;LH>-FSH
    3) 45日令以上の卵巣移植では活着-胞卵(+)または(±)FSH分泌回復
    II. 精巣移植の場合,活着(+)のものは,いずれの部位でも精細管萎縮,間質増生。
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