日本畜産学会報
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49 巻, 3 号
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  • 岡野 彰, 入谷 明, 西川 義正
    1978 年 49 巻 3 号 p. 143-147
    発行日: 1978/03/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    家兎精漿を抗原としてFREUNDのcomplete adjuvantを用いて雌家兎への同種免疫を行なった.免疫は隔週4回と,さらに第5回目を2ヵ月後に行なったところ,かなり強い抗体産生がみられた.このようにして得た抗血清を寒天ゲル内沈降反応,免疫電気泳動,ディスク免疫電気泳動を行なったところ,精漿との間に唯1本の沈降線を生ずることを認めた.家兎精漿の同種免疫で示す唯一の抗原性は,精漿をSephadex G-100カラムクロマトグラフィーにより分画してえられる4分画のうち,第2分画に含まれることも明らかにされた.
  • 加納 康彦, 沢崎 徹
    1978 年 49 巻 3 号 p. 148-154
    発行日: 1978/03/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    日本短角種では,寒冷な山岳地帯において生産,育成された肥育素牛は,温暖な平地に移動して肥育することにより,寒冷な平地における肥育の場合に比べて肥育効率が脂肪交雑の増大という質的な面で向上することを既に報告した1).本調査では,寒冷地において実用化されている保温および換気に留意された無窓牛舎内における肥育効率について明らかにするために,日本短角種および黒毛和種を対象として,それらの血清中のグルコース,中性脂肪,遊離脂酸,燐脂質,総コレステロールなどの濃度を測定し,その結果を前記の調査成績と比較し,脂質代謝の面から検討した.日本短角種において,無窓牛舎内に肥育されている群は,寒冷平地肥育の群とは著しくその成績を異にし,温暖な平地に移動して肥育された群とは極めて類似した成績がえられた.このことから,寒冷地といえども,換気と保温によって適当な温度環境を与えれば,暖地に移動させて肥育した場合と同様に,肥育効率を質的に向上させることが可能であると推測された.また,黒毛和種について,寒冷山岳育成牛と,寒冷ならびに温暖平地育成牛との,寒冷平地,温暖平地および温暖な無窓牛舎内における肥育効率について,脂質代謝の面から検討した結果,山岳育成牛では,無窓牛舎における肥育により,その肥育程度が進み,脂肪交雑の増大という質的な面で,肥育効率が向上することが推測され,寒冷地における無窓牛舎の有効性が推測された.また,温暖平地において肥育されていた温暖平地育成牛には,上述の傾向が見られないところから,温暖環境下における肥育効率の向上は,山岳育成牛に特徴的なものであろうと推測された.
  • 中谷 哲郎
    1978 年 49 巻 3 号 p. 155-164
    発行日: 1978/03/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    菜種粕に含まれる特殊成分の抗甲状腺作用を減弱する方法として,γ線照射が有効であるかどうか,また,そのために必要な線量を知ろうとして,オートクレーブによる蒸熱処理および低グルコシノレートの菜種から製造された菜種粕(低グルコシノレート粕)とも対比して,照射(5∼100Mrad)による菜種粕のオキサゾリジンチオン(OZT)含量の変動について調べた.また,照射が菜と種粕のいくつかの成分含量におよぼす影響,さらに,ヒナを用いてその嗜好性および消化性におよぼす影響についても検討を加えた.1)菜種粕のOZT含量は,50Mrad以上の線量の照射によって低グルコシノレート粕のそれと同じ程度にまで顕著に低下した.また照射により有効性リジンの損失がみられたが,これらの変動の様相は,適切な条件下で行った蒸熱処理による場合にほぼ類似していた.2)50Mrad以上の線量の照射によって,菜種粕の粗繊維および還元糖の含量には顕著な変動がみられ,前者は低下し,後者は増加した,照射により菜種粕の嗜好性は改善される傾向にあり,また粗繊維の消化率は向上したが粗たんぱく質の消化率には照射の影響はほとんどあらわれなかった.3)以上の結果から菜種粕に対するγ線照射は,その特殊成分の抗甲状腺作用を減弱する方法として有効であり,50Mrad以上の照射によって適切な条件下における蒸熱処理に匹敵する効果が期待できるように考えられた.
  • 鈴木 省三, 村山 友希, 左 久
    1978 年 49 巻 3 号 p. 165-172
    発行日: 1978/03/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    乳牛舎のけい留方式やストールの構造がウシの居住感に与える影響をウシの横臥姿勢の面から分析する方法について検討するため,放し飼いされたウシの横臥姿勢を四肢の伸縮,頸の曲げ方によって分類し,その出現率を調べるとともに,けい留牛舎における横臥牛への適用,比較を試みた.まずフリーストール型休息場を持つ放し飼い施設に収容する85頭およびスタンチォン式牛舎にけい留する5頭について,15分ごと5日間にわたり横臥牛の姿勢を記録,分類した.次いでスタンチォン式•チェーンタイ式•コンフォートストール式のけい留牛舎それぞれ3ないし4牛舎,72~134頭について,夜間15分ごと2時間の観察を行ない,放し飼い施設における同時間帯の横臥姿勢と比較した.放し飼い施設(バーンヤードとフリーストール)における1日の横臥時間は623±121分でスタンチォン式牛舎より平均約30分長かった(P>0.05).左坐りは右坐りよりやや多く(P<0.01),放し飼い施設で横臥時の肢をその位置によって上側と下側に分けると,左坐りと右坐りの間に各種横臥姿勢出現の差はほとんど認められず,四肢を縮めた姿勢が平均40.7%を占め,肢を伸ばしたものは,上側のみ,下側のみ,両側の順に,後肢でそれぞれ31.4,1.3,24.1%,前肢で1.7,13.3,2.1%となり,後肢は上側を前肢は下側の肢を伸ばす率が高かった.横臥時間や各種横臥姿勢出現率は昼間と夜間で異り,夜間は70~90%の個体が横臥し,肢を伸ばし頸を後方に曲げて休む姿勢が多かった.バーンヤードとフリーストールの間には横臥姿勢に著明な相異は認められず,けい留牛舎では一般に四肢を縮めた姿勢や前肢を伸ばす姿勢が少なかった.けい留方式についてはスタンチォン式牛舎で頸を後方に曲げる姿勢の少ない点がめだった.しかし同じけい留方式でも牛舎によって各種横臥姿勢出現率の違いが大きく,牛床と飼槽の間にある縁石(curb)の高さ,牛床の長さ,床の状態なども横臥姿勢と関連があるようで,それらの点も含めた総合的な考慮が必要と考えられる.
  • 印牧 美佐生
    1978 年 49 巻 3 号 p. 173-179
    発行日: 1978/03/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    ウシのBシステムにおいて対称的亜型を示すG血球抗原群(G1,G2,Gx)の免疫学的関係を,同種免疫による抗体産生能と抗血清の吸収試験により調べた.また,これまでわが国になかった抗-G1抗血清を新たに作成し,G抗原群の発現の遺伝的単位の確認を行なった.1) G抗原群の発現の遺伝的単位としてG1G2 (G1とG2抗原をもつもの,以下同様),G2Gxおよび"-"型のほか,新たにG2型が見出された.2) 抗-G1抗体は,G1G2型血球を"-"型のウシに免疫することによって産生され,単離された抗血清は標準血球により抗-G1であることが同定された.この抗血清は,G2Gx型の一部に弱い交叉反応を示した.抗-G2および抗-Gx抗体は,G2Gx型の血球を"-"型のウシに免疫することにより産生された.抗-Gx抗血清はこの未吸抗血清をG1G2あるいはG2型血球で吸収することにより単離された.また,通常の抗-G2抗血清は抗-(G2+Gx)の組成であることがわかった.3) 抗-G1抗血清は,G1G2,G2GxおよびG2型血球による吸収で抗体活性を失った.すなわち抗-G1抗体はG1G2型血球のみを溶血させるが,G1あるいはG2抗原をもつすべての血球と結合することが判明した.抗-G2抗血清はG2抗原をもつすべての型の血球と結合し,これらを溶血させた.抗-Gx抗血清はG2Gx型血球とのみ結合し,これを溶血させた.4) G1とG2およびG2とGx抗原の関係を,遺伝的な発現様式から比較すると,G1とGxはいずれもG2の存在下ではじめて出現する対称的亜型の関係にあった.しかし免疫学的にはG1とG2は交叉反応を示す類似した抗原構造であり,一方G2とGxとの間には抗原的に明確に区別できる差異が存在していた.
  • 大島 正尚
    1978 年 49 巻 3 号 p. 180-188
    発行日: 1978/03/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    1. ホルスタイン種乳牛29頭から採取した分房乳93例を用いて,15°Cから40°Cの範囲内の種々の温度における比電気伝導度と温度との関係を検討した結果,その温度範囲内の任意の温度で求めた乳試料の伝導度測定値から,その乳試料の,この温度範囲内の任意の温度における比伝導度を近似的に算出する実験式を得た.2. 前搾り乳と個乳試料について,この実験式を用いて求めた温度補正値の近似の精度を調べると,誤差は測定値のおよそ2%であった.3. 伝導度の分房間差による異常分房乳の検出法において,ある温度での異常乳判定規準値が与えられれば,この実験式を用いて,任意の温度における規準値を求めることができる.
  • 寺島 福秋, 唐来 宣人, 伊藤 宏
    1978 年 49 巻 3 号 p. 189-194
    発行日: 1978/03/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    pH7.5に調製した0.2M乳酸液またはこの液にリン酸塩を添加した溶液(12.4gP/l)を粗飼料給与めん羊の静脈内に1日当り500ml,3日間連続投与し,血清無機物濃度および尿中無機物およびHydroxyproline (Hyp)排泄量の変化について生理食塩水投与時と比較検討した.血清乳酸濃度はこれらの溶液の投与によって約1.5倍に増加した.乳酸塩の投与は血清無機物濃度に影響を与えなかったが,リン酸塩投与時にP濃度は著しく増加し,Ca濃度は低下した.乳酸塩の投与によって尿中PおよびHypは有意に増加し,Caは減少する傾向を示した.リン酸塩投与時にP排泄量は著しく増加し,CaおよびMg排泄量は減少した。Hypは乳酸塩投与時に比較して減少する傾向を示した.これらの結果より,血中乳酸の増加は骨吸収を促進し,尿中P排泄を増加させるものと推察された.また血中P濃度の著しい増加は尿中P排泄量を増加させ.Ca排泄量を減少させるものと思われる.
  • 矢野 史子, 川島 良治, 小島 洋一
    1978 年 49 巻 3 号 p. 195-197
    発行日: 1978/03/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • 水野 秀夫, 泉水 直人
    1978 年 49 巻 3 号 p. 198-202
    発行日: 1978/03/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • 寺田 隆登, 中丸 定男, 渡辺 守之
    1978 年 49 巻 3 号 p. 203-205
    発行日: 1978/03/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
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