日本畜産学会報
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68 巻, 7 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 鈴木 三義, 口田 圭吾, 斉藤 祐介
    1997 年 68 巻 7 号 p. 615-621
    発行日: 1997/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    乳量を構成する5つの成分の中でミネラルやその他の微量成分を乳糖に含めることにより,4成分の遺伝的パラメータを推定した.データは北海道乳牛検定協会で集積された375,489頭の雌牛からの初産から3産までの745,599個の記録であった.それらは1985年から1991年に分娩した1日2回,305日搾乳から得られた乳脂量,乳蛋白量,乳糖量(ミネラル等を含む)および水分量の記録である.計算を可能にするためおよび牛群の地域や歴史的背景を考慮して,データは約38,000頭の10個のサンプルに分割された.(共)分散成分の推定には,多形質の反復率モデルによるEMアルゴリズムを用いた制限最尤法を使用したMisztalのMTCプログラムを用いた.モデルには母数効果として牛群•年次,分娩月および分娩年齢への一次回帰を含み,変量効果としては雌牛の相加的遺伝子効果,恒久的環境効果および誤差効果を考慮した.10個のサンプルの平均遺伝率は,乳蛋白量,乳脂量,乳糖量そして水分量について,それぞれ,.27,.28,.29,.30であった.データの(自然)対数変換により,遺伝率は.02から.03増加したが,反復率では恒久的環境分散が全ての形質で.02減少したため,増加は認められなかった,乳脂量を除いた各乳成分は互いにご高い相関関係にこあったが,特に,乳量と水分量の相関は高く,1.00であった.対数変換は遺伝相関を最大で.03程高くし,サンプルにおける平均値と各分散成分間に認められた正の相関を0に近づける効果があった.
  • Lellah RAHIM, 原田 宏, 福原 利一
    1997 年 68 巻 7 号 p. 622-630
    発行日: 1997/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    リアルタイムの超音波診断装置(2MHz)を用いて,去勢肥育牛の屠肉形質を早期推定するための適期について検討した.推定に用いた形質は,肥育終了時の第7胸椎部の胸最長筋横断面積(MLTA 1),バラの厚さ(RT)および脂肪交雑評点(BMS)であり,これらを肥育のいくつかの段階の各形質超音波推定値と体測定値を独立変数とした重回帰式により早期推定を試みた.さらに,肥育終了時の赤肉割合(MPER)も同様の重回帰式により推定した,肥育終了時のMLTA 1,RTおよびBMSのいずれの屠肉形質を推定する際もそれぞれの形質の超音波推定値が,肥育開始後2ヵ月のBMSを除いて高い標準偏回帰係数で重回帰式に取り込まれることが認められた.いっぽう,筋間脂肪厚は肥育終了時のMPERを推定する際,最も高い標準偏回帰係数で重回帰式に取り込まれることが認められた.早期推定時期については,肥育終了時のMLTA 1およびRTは肥育開姶後6ヵ月で,それぞれ67.3%および56.8%の寄与率で推定できることが認められた,また,BMSおよび赤肉割合については,肥育開始後8ヵ月が適当と考えられ,それぞれの寄与率は55.5および50.9であった.
  • 阿部 又信, 入来 常徳, 笠原 和浩, 舟場 正幸
    1997 年 68 巻 7 号 p. 631-639
    発行日: 1997/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    早期離乳後も食道溝反射を維持した初体重147kg(16週齢)のホルスタイン種雄子牛8頭を用いて窒素(N)出納試験を実施し,トウモロコシ,大豆粕および稲ワラから成り,現物当たりの粗タンパク質(CP)含量が12.7%の飼料においてメチオニン(Met)またはリジン(Lys)が制限アミノ酸になるか否かを調べた.試験は1区2頭で2週間を1期とする4×4ラテン方格法により行い,基礎飼料は1日に体重kg当たり20および27gの2水準で給与した,両給与水準において1日に体重kg当たり0.111gのDL-Metと0.333gのL-LysHClを食道溝経由で補足した結果,等N量のL-グルタミンを投与した場合と比較して両給与水準ともN出納は改善されなかった.しかし尿中プリン誘導体排泄量は低飼料給与水準において減少し,ルーメン内における微生物態タンパク質合成量は高給与水準よりも少なかったことを示唆した.また,DL-MetとL-LysHClの補足により血漿Metが長時間にわたって高濃度に維持され,血漿側鎖アミノ酸濃度を低下させたが,その傾向も低飼料給与水準の方が顕著であった.以上の結果,この時期の子牛ではMetもLysも供試したトウモロコシ•大豆粕飼料の制限アミノ酸ではなかったか,あるいはDL-Metの過剩により制限アミノ酸が検出されなかった可能性が考えられた.
  • 立花 文夫, 姥貝 弘之
    1997 年 68 巻 7 号 p. 640-649
    発行日: 1997/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    低タンパク質飼料の給与は糞尿への窒素排泄量を低減させる可能性があるが,厚脂になりやすいとの報告がある.そこで本研究においては,子豚育成期•仕上げ期での低タンパク質飼料の実用への可能性を追求する目的で,各ステージでの増体および仕上げ期での屠体性状,特に背脂肪厚への影響を検討した.さらに,窒素出納試験による窒素排泄量抵減の検討を実施した.試験1において,育成豚(体重32.9kg)を用いて,CP 16%,14%,12%の3区で群飼での飼養試験を実施した.CP14%,および12%飼料には不足するアミノ酸(Lys, Met, Trp, Thr)を単体で添加した.その結果,増体量•飼料摂取量•飼料要求率でタンパク質水準の違いによる差は認められなかった.試験2では仕上げ豚(体重65.8kg)を用いて,CP 14%•TDN 77%飼料を対照に,CP 11.5%•TDN 77%飼料,CP 11.5%•TDN 75%飼料給与の3区で群飼での飼養試験を実施した.11.5%飼料には不足するアミノ酸(Lys, Met, Thr)を単体で添加した.その結果,CP 11.5%•TDN 77%飼料給与したブタの増体が最もすぐれた,また,屠体解体後に屠体性状を調査したが,背脂肪厚をはじめとして区間に差が認められなかった.試験3では試験1で使用したCP 16%飼料とCP 12%飼料を用い,育成豚(体重37.5kg)で窒素出納試験を実施した.糞へ排泄する窒素量には差がなかったが,尿へ排泄する窒素量はCP 16%飼料給与豚の20.5g/日に対し,CP 12%飼料給与豚は6.5g/日と約69%の低減が見られた.糞•尿会計した窒素排泄量も約54.6%と大幅な低減効果が認められた.
  • 村松 達夫, 柴田 修, 奥村 純市
    1997 年 68 巻 7 号 p. 650-653
    発行日: 1997/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    The effect of self-replication DNA sequences of Epstein-Barr virus on the foreign gene expression in vivo in the mouse testis was investigated. The CAT reporter plasmid DNA with or without the self-replication region was transfected by in vivo microparticle bombardment, and the time course changes in the CAT gene expression was monitored for up to 28 days. Although until 7 days after transfection, the presence of the selfreplication region had little effect on CAT gene expression, significantly higher CAT gene expression was observed by the selfreplication region at 14 and 28 days. It was concluded, therefore, that CAT reporter gene expression was persistently maintained by the presence of the self-replication region of Epstein-Barr virus in the transfected DNA.
  • ナセル M.E.A, 小野寺 良次
    1997 年 68 巻 7 号 p. 654-656
    発行日: 1997/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    A rumen protozoon, Entodinium caudatum, and mixed rumen protozoa were isolated from a monofaunated and a naturally faunated goats with rumen fistula, respectively. Diaminopimelate decarboxylase activities of the crude enzymes of the protozoa were assayed by determining the lysine production with a high-performance liquid chromatography. The optimal pH and temperature for the catalytic activities of the crude enzymes were found to be 6.3 and 50°C, respectively, in both E. caudatum and mixed rumen protozoa, while the Km values for 2, 6-diaminopimelate in both protozoal crude enzymes were 0.62 and 0.68mM, respectively. For the stability of the enzyme of E. caudatum, the presence of pyridoxal 5'-phosphate and thiol group such as 2-mercaptoethanol and dithiothreitol was necessary and higher catalytic activities were retained in the pH range of 5.0 and 6.8. The enzyme was stable when kept in the temperature range of 25 and 60°C for 10min, but the activity was completely lost at 70°C. DL-penicillamine inhibited the enzyme at a concentration of 1.6mM, but its effect was lessened by increasing the concentration of pyridoxal-5'-phosphate.
  • 久米 新一, 西田 武弘, 栗原 光規
    1997 年 68 巻 7 号 p. 657-660
    発行日: 1997/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    Eight periparturient Holstein cows were fed 90% hay and 10% concentrate or 50% hay and 50% concentrate on a DM basis to meet maintenance plus last 2 months of gestation level of TDN for 12 weeks before parturition. The cows almost consumed the given feed before parturition. Blood hemoglobin and plasma inorganic P of cows fed a high ratio of hay were lower than that in cows fed a high ratio of concentrate, but plasma Fe of cows fed a high ratio of hay were lower. At parturition, plasma inorganic P of cows fed a high ratio of hay and concentrate were 2.8 and 4.2mg/100ml. There were no significant differences in blood hematocrit, hemoglobin and plasma minerals of calves at d 1 of age between treatments.
  • 松岡 栄, Lourdes Noemi BRANDA, 藤田 裕
    1997 年 68 巻 7 号 p. 661-667
    発行日: 1997/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    本実験は,サイレージ貯蔵中の構造性炭水化物の分解の程度とそれに影響を及ぼす要因を明らかにする研究の一環として行った.すなわち,オーチャードグラス,チモシー,アルファルファ,それぞれに市販の乳酸菌,酵素(セルラーゼ),乳酸菌+酵素の添加剤を添加したサイレージを調製して,貯蔵中(35日間)における構造性炭水化物の分解の程度とそのin vitro消化率を測定した.結果は次のとおりである.(1) すべての草種において,乳酸菌の添加は構造性炭水化物の分解を抑制する傾向にあり,そのときのセルロース,ヘミセルロース,ペクチンの最大分解率はそれぞれ2%,35%,14%であった.酵素および乳酸菌+酵素添加サイレージのそれらの分解率は乳酸菌添加サイレージより高かった.(2) オーチャードグラスとチモシーにおいて,乳酸菌の添加はヘミセルロースとセルロースの消化率を改善したが,酵素および乳酸菌+酵素添加サイレージのそれらの消化率は乳酸菌添加サイレージより低かった.アルファルファにおいては,ヘミセルロースの消化率が同様な傾向を示した.(3) オーチャードグラスとチモシーのヘミセルロースとセルロースの消化率,アルファルファのヘミセルロースの消化率は貯蔵中の分解率との間に有意な負の相関があった.以上の結果より,構造性炭水化物のうち最も分解率の高いものはヘミセルロースであり,乳酸菌の添加はその分解を抑制し,酵素の添加は促進する.そして,分解率の増大は消化率を低下させるものと思われた.
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