乳量を構成する5つの成分の中でミネラルやその他の微量成分を乳糖に含めることにより,4成分の遺伝的パラメータを推定した.データは北海道乳牛検定協会で集積された375,489頭の雌牛からの初産から3産までの745,599個の記録であった.それらは1985年から1991年に分娩した1日2回,305日搾乳から得られた乳脂量,乳蛋白量,乳糖量(ミネラル等を含む)および水分量の記録である.計算を可能にするためおよび牛群の地域や歴史的背景を考慮して,データは約38,000頭の10個のサンプルに分割された.(共)分散成分の推定には,多形質の反復率モデルによるEMアルゴリズムを用いた制限最尤法を使用したMisztalのMTCプログラムを用いた.モデルには母数効果として牛群•年次,分娩月および分娩年齢への一次回帰を含み,変量効果としては雌牛の相加的遺伝子効果,恒久的環境効果および誤差効果を考慮した.10個のサンプルの平均遺伝率は,乳蛋白量,乳脂量,乳糖量そして水分量について,それぞれ,.27,.28,.29,.30であった.データの(自然)対数変換により,遺伝率は.02から.03増加したが,反復率では恒久的環境分散が全ての形質で.02減少したため,増加は認められなかった,乳脂量を除いた各乳成分は互いにご高い相関関係にこあったが,特に,乳量と水分量の相関は高く,1.00であった.対数変換は遺伝相関を最大で.03程高くし,サンプルにおける平均値と各分散成分間に認められた正の相関を0に近づける効果があった.
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