日本に飼育されているデュロック種の任意抽出による集団85頭の血液型調査を行い,その血液型変異を主として他の欧米品種と比較した.そして血液型遺伝子頻度を用いて,親子鑑別の有効性,集団の均質度,品種間の遺伝的類縁関係などを分析した.血液型調査は,赤血球抗原型として8システム(A,E,F,G,H,K,L,O),血清蛋白質型として5システム(Tf,Pa,Hp,Cp,Am)について行った.その結果の要約はつぎのとおりである.1) デュロック種の血液型を各システムごとにみると,O,Cp,Amシステムを除き,個体変異を示した.そして他の欧米種に比べ,H
a,K
a,L
h,L
h,Hp
2,Hp
3遺伝子の頻度が高いのが特徴であった.2) 各システムにおいて算出した遺伝子頻度から求めたデュロック種の,全システム総合の個体識別の確率は0.99915で,父権否定の確率は0.723であり,他の欧米種より低い傾向にあった.システムごとの比較では,変異の多いE,Hpシステムが高い値を示した.3) デュロック種の均質指数は,欧米品種の中ではバークシャー,大ヨークシャー種などと共に比較的高い数値を示した.4) 血液型の遺伝子頻度から算出した他品種との遺伝的距離の分析から,デュロック種は,東洋種とは完全に異る欧米種のグループに属していたが,その中ではイギリス系種とは距離が遠く,ランドレース種と近い距離を示した.
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