日本畜産学会報
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47 巻, 7 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 加納 康彦, 沢崎 徹, 沢崎 坦, 広瀬 昶
    1976 年 47 巻 7 号 p. 397-401
    発行日: 1976/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    山岳育成牛は,平地育成牛に比べて,肥育効率がよく,とくに,脂肪交雑にすぐれ,枝肉は上位に格付けされるものが多いことが報告されている1).この点について,1973年,岩手県下で生産された,日本短角種肥育素牛40頭につき,それらの育成ならびに肥育場所の経歴にもとづいて,平地育成-寒冷平地肥育,山岳育成-寒冷平地肥育および山岳育成-温暖平地肥育の3種の個体群に区分し,脂質代謝機能を中心として,肉牛の生産性におよぼす山岳育成の効果を調査した.山岳地帯で育成された個体は,肥育場所のいかんにかかわらず,山岳環境に適応した生理状態が維持されていた,山岳育成-温暖平地肥育群では,寒冷平地肥育群に比し,血液中のNEFA,中性脂肪,総コレステロールの濃度が高く,肥育中期において,すでに肥育の程度が進んでいることを示す成績をえた.この成績から,とくに温暖平地肥育においては,山岳育成により肥育性を助長されていることが推測され,脂質代謝の面からも,山岳育成が肥育にプラスの効果をもたらすことが裏付けられた.
  • 中江 利孝, 片岡 啓, 米屋 武文
    1976 年 47 巻 7 号 p. 402-410
    発行日: 1976/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    牛乳および搾乳環境を汚染する糸状菌分布の実態を明らかにする目的で,各季節別に採取した生乳,飼料および牛体毛の計131試料について検索を行った.汚染糸状菌は,Phycornycetes2属.Ascomycetes 3属,Fungi Imperfecti 22属およびMycelia steriliaが検出され,そのうちAspergillus属には18group, Penicillium属には23seriesの菌類が検出された.検体種別の平均糸状菌数は,生乳6.0×103/ml,飼料1.3×103/g,牛体毛1.6×104/gで,汚染構成菌種数は,生乳0-3/ml,飼料1-9/g,牛体毛1-10/gであった.全検体における糸状菌の出現頻度は,Aspergillus (57.3%)が最も高く,以下Penicillium (42.0%), Fusarium (26.7%), Mucor (26.0%), Cladospoyium (17.6%), Geotrichum (16.0%), Phoma(13.0%), Alternaria (10.7%)の各属の菌であった.Aspergillus属のうちでは,A. niger(18.3%), A. tlavus (17.6%), A. terreus (16.0%), A. versicolor (11.5%)の4groupに属する菌の出現頻度が高く,Penicillium属では,P. decumbens (16.0%), P. restrictum (7.6%)の2seriesの菌が多かった.汚染糸状菌の季節間の推移は,検体の種類や,汚染を構成する個々の菌に変動があり,明確に指摘するに至らなかったが,春に菌数の少ない傾向が認められた.また,生乳の汚染菌の構成が,飼料および牛体毛と異なり,集乳缶などの器具によって著しく汚染されていることが推定された.
  • 吉田 弘治, 池本 卯典, 田中 一栄, 鈴木 正三
    1976 年 47 巻 7 号 p. 411-417
    発行日: 1976/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    各種の蛋白質分解酵素を用いてヒト赤血球を処理し,そのQ抗原性について検討した.結果はつぎのようである.Trypsin, PapainおよびFicin処理をおこなえば,Q抗原性は増強し,凝集素価の低い抗Qブタ凝集素を用いても型の判定は容易である.また,Pronase, Dispaseなどの酵素を用いてヒト赤血球を処理すれば,q型はQ likeの抗原性を獲得するが,交差吸収試験の結果から推定して,Q型とは異なるものであり,ブタ血清のヒト赤血球に対する抗体活性の多様性を示唆した.9種類の糖を用いて阻止試験を行ったところ,抗Q凝集素活性は,D-glucosamin, D-galactosamin, D-galactoseによって阻止された.
  • 和泉 康史, 渡辺 寛, 岡本 全弘, 裏 悦次, 福井 孝作, 曽根 章夫
    1976 年 47 巻 7 号 p. 418-422
    発行日: 1976/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    ホルスタイン種の泌乳牛9頭を用い,サイレージ用とうもろこしの早生種である交4号(黄熟初期)および晩生種のジャイアンツ(乳熟初期)と1番刈りチモシー(出穂始期)について,それぞれサイレージを調製し,その産乳価値の差異を比較検討した.その結果,次のような知見をえた.1)サイレージの乾物摂取量において,ジャイアンッは交4号およびチモシーに比して有意(P<.01)に低下した.2)乳量では,交4号とチモシー間にはほとんど差はみられなかったが,ジャイアンッにおいて減少する傾向が認められた.3)乳組成中,蛋白質含量において,交4号はジャイアンッおよびチモシーに比して有意日(P<.05)な上昇を示した.
  • 新城 明久
    1976 年 47 巻 7 号 p. 423-429
    発行日: 1976/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    宮古群島に飼養されている馬を年齢と改良の程度により,在来種,小型,中型および大型に分け体尺測定を行うとともに毛色および改良の経過を調査した.1) 体各部位は改良に伴いいずれの部位も著しく増大し,在来馬と大型馬の差は雌雄それぞれ体高は25,24cm,体長は19,20cm,胸囲は26,27cmであり,腰角幅は11,9cmであった.2) 体格は胴長で,頭が大きく,前躯が充実し,後躯の貧弱な在来馬から後躯の充実した大型馬へと変化した.3) 毛色は栗毛55%,鹿毛33%,青毛6%で粕毛,河原毛,月毛は少なかった.4) 昭和3年から50年までに外部から移入された種雄馬は合計48頭,そのなかで楽霧号,松風号,初輝号および賛宝号,いずれも宮崎県産の種雄馬が宮古馬の改良に大きく寄与した.5) 移入種雄馬の産地は宮崎県が24頭と最も多く,毛色は栗毛23頭,鹿毛21頭と多かった.品種はアングロアラブ系雑種とアングロノルマン系雑種の中半血種がほとんどで,ブルトン種は少なかった.6) 第二次世界大戦後,宮古島で生産された種雄馬は45頭であった.そのうち楽霧号の系統が父方と母方合せて28頭となっていた.さらに体型の変化と農耕の様式との関連について考察した.
  • 大武 由之, 星野 保治
    1976 年 47 巻 7 号 p. 430-440
    発行日: 1976/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    産卵鶏に油脂(牛脂,ラード,大豆油あるいはココヤシ油)をそれぞれ10%配合した飼料を50日間給与し,飼料中の油脂による卵黄脂質の脂肪酸組成ならびに卵黄トリグリセリド内の脂肪酸分布の変動を調べた.牛脂あるいはラードを配合した飼料の給与で,卵黄全脂質のC18:1が増加し,G16:0とC18:2は減少を示し,リン脂質分画ではC20:4やC22:5の減少をきたした.大豆油給与で中性脂質ではC16:0,C18:1は減少し,C18:2は顕著に増加し,リン脂質ではC22:5が減少し,C18:0の増加をみた.ココヤシ油の給与で,卵黄の全脂質と中性脂質ではC14:0,C16:1が増加し,C18:1およびC18:2は減少し,他方リン脂質ではC20:4のC22:5減少とC18:1の増加をきたした.トリグリセリド内の脂肪酸分布は膵臓リパーゼ分解法で調べた.牛脂とラードとでは,トリグリセリド内の脂肪酸分布が著しく異なっているが,牛脂を給与した鶏の卵黄脂質は,トリグリセリド内脂肪酸分布では,ラード給与のものと大きな差異が見られなかった.大豆油給与とココヤシ油給与とでは,卵黄トリグリセリドの脂肪酸組成に,かなりのちがいがあったが,そのいずれにおいてもC16:0やC18:0は,トリグリセリドの1,3-位置に多く結合していた.また,C18:2は2-位置に多く結合していた.市販配合飼料給与の時のに比べ,牛脂の給与で卵黄脂質中SUUやSUSなどの型のトリグリセリドは減少して,SSS,SSUおよびUUUの型のは増加する傾向があり,ラード給与でSUSは減少し,UUUは増加を示した.大豆油給与では卵黄脂質中SUSの減少が著しく,UUUの増加が顕著であったが,これに対してココヤシ油の給与では,SSS, SSU, SUSおよびUSUが明らかに増加し,SUUとUUUは減少をきたした.おもな成分トリグリセリドにあっては,牛脂給与でPLP, PLO, OLOなどが減少し,POO, OOOなどが増加をきたし,ラード給与でもPLP, POPtなどの減少,OOOの増加が認められた.さらに,大豆油給与ではPOP, POSt, POO, OOOが減じ,PLP, POPt, StLO, PLL, OLOおよびOLLは明らかに増加を示した.他方,ココヤシ油給与ではPLP, POO, PLO, OOOおよびOLOは減少し,MyOP, MyOOの増加が見られた.
  • 吉田 文男, 樋口 正
    1976 年 47 巻 7 号 p. 441-447
    発行日: 1976/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    著者らは,哺乳動物の卵巣機能とプロテアーゼとの間の生理学的関係を解明する目的で,PMS前処置HCG投与後8-9時間の幼若ラット卵巣を用い,そのホモジェネート内アルカリプロテアーゼ活性の分布と若干の性質を調べた.プロテアーゼ活性は,カゼイン基質を用い,前報と同じ方法によって測定された.結果は次のごとくである.1) 本卵巣の0.15M NaClホモジェネート中には約8.5に至適pHを持つアルカリプロテアーゼ活性が存在するが,その大部分は沈澱部中にあり,上清中にはほとんど見出されない. 2) 沈澱部中の本酵素は1.0M NaClのごとき高塩濃度で可溶化されるが,0.02M NaClのごとき低塩濃度では可溶化されない.3) 可溶化された本酵素活性はホモジェネート上清によって強く阻害される.4) かくて,本卵巣ホモジェネート中のアルカリプロテアーゼは遠沈及びその後の沈澱部可溶化によって約17倍の比活性と約140%回収率の増加をもたらした.5) 本可溶化酵素はCu2+,Zn2+,TPCK, EDTA, cysteine, 2-mercaptoethanol, DFP, SbIによって強くあるいはかなり阻害される.Ca2+は適度に活性を増加させる.7) 本酵素はpH 6-9の領域では37C以下でかなり安定であるが,酸性pH下では4Cでさえも極めて不安定である.
  • 松田 和弘, 晴山 信一, 西沢 直行
    1976 年 47 巻 7 号 p. 448-450
    発行日: 1976/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
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