日本畜産学会報
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53 巻, 12 号
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  • 眞鍋 昇, 藤村 久子, 石橋 武彦
    1982 年 53 巻 12 号 p. 781-785
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    ヤギの皮膚表皮におけるランゲルハンス細胞(L細胞)の染色性,形態および分布を,オスミウム沃化亜鉛染色法(ZIO法)によって作成した標本で調べた.1) pHを異にした緩衝液に溶かしたZIO液でL細胞を染色したところ,4°CにおいてpH7.6の0.05Mベロナールナトリウム•塩酸緩衝液で調整したZIO液が最も特異性が高く,好結果が得られた.2) L細胞の形態は種々で部位や年齢によって異なり,突起の数も少ないものは2本,多いものでは15本以上のものも存在した.一般に表皮が厚く角質層の発達した部位に存在するL細胞は発達しない部位の細胞に比べて突起の数も多く分岐も複雑であった.また,同一部位でも体表に面した部位と毛包や汗腺の導管などに存在する細胞とではその形態は著しく異なり,毛包部の細胞は突起の数も多くて複雑に分岐し,導管部のものは突起の数は少ないが,非常に長く,導管を包むようにして配列していた.3) L細胞の分布密度は,口唇,眼瞼,耳道,胸,肩,前後肢の内側,前腹,乳頭,陰嚢の各部で高く,陰茎および膣や肛門の周辺で低かった.成体背部での分布密度は1mm2に713~1,370個であった.なお,毛包の上皮での密度は高く,加齢によってもL細胞の数は増加する傾向がみられた.
  • 松岡 栄, 尾上 富見男, 加藤 勝幸, 藤田 裕
    1982 年 53 巻 12 号 p. 786-791
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    牧草サイレージの飼料価値が好気的変敗によりどの程度低下するかを検討するために,サイロから取り出したサイレージを堆積放置し,そのときのサイレージの発熱期間の長さを指標にして,変敗の程度の異なるサイレージを調製し,その飼料価値を取り出し直後のもの(対照)と比較した.消化試験,窒素出納試験はメン羊4頭を用いて実施した.結果は次のとおりである.1) サイレージの化学的品質は,変敗によりpHが上昇し,乳酸含量と総VFA含量が減少し,VBN含量が増加したが,その割合は必ずしも発熱期間の長さに対応しなかった.一般成分には大きな変化はみられなかった.2) 変敗が進むにつれて粗蛋白質の消化率は低下し(P<0.05),NFE,エネルギーの消化率も同様な傾向を示した.しかし,ADFの消化率は変敗サイレージのほうがわずかに高かった(P<0.05).3) サィレージの養分含量は変敗が進むにつれて減少し,DCP含量は,3,6および9日間発熱していたサイレージにおいて,それぞれ4,7,9%減少した.これに対し,TDN, DE含量の減少割合は小さく,9日間発熱していたサイレージにおいて,それぞれ2,4%の減少であった.4) 窒素の蓄積量は変敗により減少し,蓄積率は低下する傾向にあった.5) 第一胃内アンモニア濃度は変敗が進むにつれて減少する傾商がみられ,総VFA濃度も6および9日間発熱していたサイレージにおいてやや減少した.
  • 寺脇 良悟, 武藤 浩史, 小野 斉
    1982 年 53 巻 12 号 p. 792-796
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    繁殖効率に対する群,季節,産次および年齢の効果ならびに繁殖効率のこれらの要因の変化に伴う推移について検討した.帯広市農業共済組合人工授精記録簿より1979年1月から12月までに初回授精を行った乳牛検定組合加入ホルスタイン種乳牛38群783記録を使用した.繁殖効率の指標彩質として,初回授精受胎率(受胎率),受胎所要授精回数(授精回数),初図授精から最終授精までの日数(授精期間),空胎日数および分娩間隔を用いた.1) 受胎率,授精回数および授精期間に関しては,産次の効果が統計的に認められた.2) 空胎日数および分娩間隔は,群,産次および年齢(月齢)により影響を受けた.3) 空胎日数および分娩間隔の年齢に対する一次偏回帰係日はともに正の値であった.両形質に関する産次の効果の最小二乗定数は,選抜•淘汰により偏りを生じていると推察された.4) 群管理の改善による空胎日数および分娩間隔の短縮は,分娩から初回授精までの日数を短縮することにより達成できると推察された.5) 季節の効果は,すべての形質について認められなかった.
  • 大武 由之
    1982 年 53 巻 12 号 p. 797-803
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    黒毛和種の去勢牛からの撓骨,〓骨および肋骨の各3点,食肉工場で豚枝肉から取り除いた上腕骨,大腿骨,肩甲骨,腰椎および肋骨の各3点,計24点の試料から,それぞれ骨髄脂質を抽出して試験に供した.試験した牛および豚の骨髄脂質は,ほとんど中性脂質から成っていた.牛骨髄脂質のおもな脂肪酸はC16:0,C16:1,C18:0およびC18:1で,とくにC18:1に富み,撓骨と〓骨のC18:0含量の少ないことが注目された.撓骨と〓骨との脂肪酸組成は類似していたが,肋骨は撓骨や〓骨に比べて,中性脂質ならびにリン脂質のいずれにおいてもC18:0が多くC18:1が少なかった.豚骨髄脂質のおもな脂肪酸はC16:0,C18:0,C18:1およびC18:2であって,中性脂質にあっても,リン脂質にあっても,解剖学的部位がちがっていても,それらの脂肪酸組域は比較的類似していた.概して,骨髄のリン脂質は中性脂質に比べてC16:1とC18:1が少なく,C20:3,C20:4,C22:5やC22:6などの多価不飽和脂肪酸が多かった.また,牛の骨髄脂質は豚の骨髄脂質よりもC16:1,,C18:1および飽和脂肪酸が多く,C16:0とC18:2が少なかった.牛骨髄のトリアシルグリセロール(TG)は,C16:0とC18:0は1-位置に多く結合し,C18:1は2-および3-位置に多く,C18:2は2-位置に多く存在していた.その結果,橈骨と〓骨とのTGの2-および3-位置は,90%近くが不飽和脂肪酸から成っていた.豚骨髄脂質ではC14:0,C16:0およびC16:1は,2-位置に多く結合し,一方C18:1は1-と3-位置に多く,C18:2もC18:1に似て1-と3-位置に多く存在していた.それらの結果,牛骨髄脂質とは対照的に,豚骨髄のTGでは2-位置は大部分飽和酸で占められ,3-位置は大部分不飽和酸で占められている.
  • 山内 昭二, 真田 秀一, 島田 昌彦
    1982 年 53 巻 12 号 p. 804-813
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    頂尾長1.5cm(妊娠約25日)から32cm(ほぼ満期)におよぶ豚胎盤について形態学的研究を実施した.頂尾長2.6cm(約30日)の時期,絨毛膜は隆起と窩に分化し,隆起では胎児性毛細血管が上皮内に進入し始める一方,窩では上皮細胞内に特有のコロイド小滴が出現し始める.子宮粘膜の上皮細胞は妊娠の進行とともに次第に高さが減少する.上記の隆起と窩に対応する子宮上皮の部位の間で形質的な差は見られない.絨毛膜と子宮上皮の接触面は光顕的には微細な鋸歯状結合が原則であり,ここはPASおよびアルシアンブルーに陽性に反応する.尿膜血管中に見られる赤血球は頂尾長3.5cm(約35日)期までのものではもっぱら有核であるが,4.2cmおよび4.9cm(約40日)のものでは有核赤血球がごく少数となり,以後はもっぱら無核の赤血球となる.隆起での絨毛膜上皮内毛細血管は妊娠の末期,上皮の核上部にまで進出するので,毛細血管内皮と上皮遊離縁との距離は1.5μm以下となる.一方,絨毛膜の窩および子宮上皮については妊娠の末期に至るまで毛細血管は上皮内に進入しない.窩の絨毛膜上皮に見られるコロイド小滴は妊娠70日期以後次第に消失する.子宮腺の直径は妊娠期進行性に増大し,また腺腔分泌物も増量する。浅在の子宮腺は深在のものに比べ,妊娠の中期(約40日~80日),特に顕著な発達を示した.
  • 阿久澤 良造, 横山 健吉
    1982 年 53 巻 12 号 p. 814-821
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    著者らは,すでにStreptococcus lactisより2種の菌体内プロティナーゼを分画し,その理化学的性状について検討した.これらのうちの1種のプロティナーゼは,低温域に至適温度(6°C)を示し,チーズ熟成上興味ある酵素と考えられる.そこで今回,この低温域に最大活性を示すプロティナーゼの精製を試み,結晶化し,さらに,その性質の一部について検討した.Streptococcus lactis (IAM 1198)を,AMUNDSTADの培地に培養し,遠心分離して菌体を得た.菌体を乳鉢中で海砂とともに磨砕し,遠心分離後,上澄液は,超音波処理(20 KHz, 15min)を行ない,さらに,遠心分離(2,000×g,60min)して菌体内抽出物を得た.この菌体内抽出物を,硫酸プロタミンによる核酸除去,DEAE-セルロース,およびSephadex G-50カラムクロマトグラフイーによって精製し,凍結乾燥後,エタノールを含む少量の脱イオン水を加えて懸濁液とし,2°Cに静置し,結晶として単離した.菌体150gより10mgの結晶状プロティナーゼを得た.結晶酵素の比活性は,4.69U/mg proteinであり,菌体内抽出物の0.104U/mg proteinに比較して45倍の精製度で,ポリアクリルアミドゲル電気泳動的に単一蛋白であり,その分子量は,Sephadex G-200カラムクロマトグラフィーによれば,12,500であった.紫外部における最大吸収波長は,278nmに存在した.また,至適温度•pHについては,6°C•pH5.5であった.
  • 加世田 雄時朗, 野澤 謙, 茂木 一重
    1982 年 53 巻 12 号 p. 822-830
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    1. 野生状態で生息している御崎馬について,1979年から1981年にかけて,繁殖シーズンの群行動及び血液型から群の種雄馬と子馬の父子関係について調査した.
    2. 繁殖シーズンには,ほとんどの雌馬はそれぞれ特定の種雄馬と群を作り,その間はずっとその関係は変わることはなかった.年によって種雄馬を変える雌馬もいたが,大部分は毎年同じ種雄馬と群を作る傾向が強かった.
    3. 血液型による22頭の子馬と8頭の種雄馬との父子判定の結果からは,父親の可能性のある種雄馬が1頭に絞られたものが9例,2頭に絞られたものが7例,3頭に絞られたものが1例,4頭に絞られたものが4例,5頭に絞られたものが1例であった.この結果に,種雄馬と母親の群行動の観察結果を加えて父子判定を行った結果,父親の可能性のある種雄馬が1頭に絞られたものが15例,2頭に絞られたものが4例,3頭に絞られたものが3例であった.
    4. 子馬が生れる前年の繁殖シーズンに母親が群を作った種雄馬と,血液型及び鮮行動から判定した父親の可能性のある種雄馬との関係では,両者が一致したものが12例,群の種雄馬が父親の可能性のある種雄馬の中に含まれたものが6例,両者が一致しなかったものが3例,母親がどの種雄馬と群を作ったかが不明のものが1例であった.
    5. この調査結果から,全般的には群の種雄馬がその群の中で生れた子馬の真の父親である可能性は極めて高いといえる.しかし,母親が特定の種雄馬と長期間に渡って安定した群を作っているにもかかわらず,その子馬の真の父親が全ったく別の群の種雄馬である可能性も否定できない.
  • 宮本 元, 古林 亮介, 谷井 隆夫, 石橋 武彦
    1982 年 53 巻 12 号 p. 831-837
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    豚卵胞の顆粒層細胞表面の微細構造を明らかにするために,この実験をおこなった.20頭の未成熟または成熟豚の卵巣から,種々の大きさの正常卵胞とのう腫卵胞を採取した,これらの卵胞を分割した後,2.5%グルタルアルデヒドで固定し,1%オスミウム酸で後固定した.ついで臨界点乾燥後,金のイオンスパッタコーティングをおこない,顆粒層細胞を走査電子顕微鏡で観察した.小卵胞(1~2mm)および中卵胞(3~5mm)の顆粒層細胞の表面は比較的なめらかで,多くの場合微絨毛はみられなかった.これに対して,大卵胞(6~12mm)の顆粒層細胞の表画は一般に多くの微絨毛でおおわれ,とくに卵胞腔に近い細胞でこの傾向がみられた.これらの成績から,顆粒層細胞における微絨毛の出現は,卵胞の発育と関係のあることが推察できる.卵胞の大きさが同じであれば,性成熟および発情周期による顆粒層細胞の表面構造の差はほとんど認められなかった.軽いのう腫卵胞には崩壊した顆粒層細胞が存在し,これらの細胞は少数の微絨毛でおおわれていた.一方,進んだのう腫卵胞では顆粒層細胞が消失し,内層には一般に線維素または膠原線維が観察された.
  • 富樫 研治, 横内 圀生
    1982 年 53 巻 12 号 p. 838-843
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    離乳前発育形質は,子牛自身の遺伝的効果と母性効果によって影響される.肉牛生産の育種計画を考慮するには,両者の影響を検討しなければならない.従って,本報告ではヘレフォード種の離乳前発育形質に対する両者の影響を調べた.1)σAOAMは,ほとんどの体格部位で負の値を示した.2)3,6ヵ月齢の体重,胸深,尻長,腰角幅および胴囲のh2Mはh2Nより大きく,特に,3か月齢の体重,尻長,腰角幅および胴囲のh2Mは,それぞれ0.76,0.67,0.68,0.71と大きな値を示した.3) 母牛自身の離乳前発育形質とその子供の離乳前発育形質との表型相関係数は,0.3以下の正の値を示した.
  • 吉田 治弘, 村松 梅太郎, 池本 卯典
    1982 年 53 巻 12 号 p. 844-845
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
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