日本畜産学会報
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42 巻, 12 号
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  • 藤沼 一郎, 野崎 博
    1971 年 42 巻 12 号 p. 601-608
    発行日: 1971/12/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    10数年来の経済高度成長下にあって,土地との結びつきがきわめて少ない家畜の多頭飼養経営の増加に伴い,家畜ふんの堆積,畜舎汚水などの流出,不法投棄による悪臭や衛生昆虫の発生,地下水の汚染,河川湖沼の水質汚濁,家畜の鳴き声によるそう音被害などの問題が社会的に表面化し,広く大きな問題として発展しつつある.一方,このような情勢が急速に進展した関係もあって,これに対処する技術面は研究装備が十分でなく,その処理対策については,歴史のある下水,人のし尿,産業廃水処理など処理技術を導入し,試行錯誤をくり返した結果ようやく目途がついた段階である.なお,この分野とは別に農薬や抗生物質などの畜産物に対する汚染も表題内の問題かも知れないが,本総説では触れないことにする.
  • II. 豚の体感温度,特に育成豚の生理反応におよぼす温•湿度の影響
    山本 禎紀, 所 和暢, 冨島 信行, 伊藤 敏男, 三村 耕
    1971 年 42 巻 12 号 p. 609-616
    発行日: 1971/12/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    中ヨークシャー種,去勢育成豚2頭を用い,環境温度(25~35°C)の短時間(5時間)および長期間(5~7日)の感作,飼料摂取および乾球温度(15~35°C)と湿球温度(12.1~31.6°C)に対する呼吸数•直腸温および心拍数の反応の性質を検討し,次いで乾•湿球温度の作用割合を求め,育成豚の体感温度の表示を試みた.
    1) 呼吸数は25°Cでいくぶん増加傾向にあるが,熱性多呼吸は30°C前後の比較的高温域で発現し,その増加率(dR/dT)は大きかった.体温調節反応としての呼吸数の変化は,乾•湿球温度および飼料摂取の条件に対してきわめて調節的な反応を呈するものであったが,呼吸数の経時的変化は大きく,そのため平均呼吸数は数時間にわたる多数回の測定記録から求めるのが適当であると考えた.
    2) 直腸温の上昇は比較的大きく,呼吸数の変化と同じ傾向の変動を示した.しかし呼吸数が条件感作後1~2時間で安定した反応を呈するのに反し,直腸温は感作5時間においてもなお上昇反応を示し,短時間に条件に対応した反応を得られないことが明らかになった.
    3) 心拍数に対するDBTとWBTの明らかな影響は認められなかった.しかし飼料摂取量との関係は明らかであった.
    4) DBTとWBTの作用割合を呼吸数の変化を判定指標として求めると,0.6 DBT+0.4 WBTとなり,DBTの上昇による作用がWBTに比べ大きいと判断された.このDBT>WBTの関係は育成豚の高温域での体温調節の特徴を端的に表わしているものであり,飼育管理上,充分に考慮されるべきものと考えられた.
  • I. In vitroにおける消化率,トリプシンインヒビターの活性および有効性リジンにおよぼす電子線の影響とケナガコナダニの殺虫線量について
    梅田 圭司, 高野 博幸, 佐藤 友太郎, 戸塚 耕二, 高橋 芳雄, 麻生 和衛
    1971 年 42 巻 12 号 p. 617-623
    発行日: 1971/12/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    数種の配合飼料原料を電子線で高線量処理し,一般成分への影響,酵素による消化率の変化などを調べ,生大豆粉のトリプシンインヒビター,生大豆粉および乾燥トルラ酵母の有効性リジンにおよぼす影響,ケナガコナダニの放射線抵抗についても調べた.
    1. 電子線で,6,10,20 Mradの高線量を照射したカンショでん粉粕,コーンコブミールをジアスターゼで,生大豆粉,乾燥トルラ酵母をペプシンで人工消化させた.でん粉粕,コーンコブミールともに線量を増すと,粗でん粉含量は少なくなるが,残った粗でん粉の人工消化率は,でん粉粕では線量とともに高くなり,コーンコブミールでは逆に低下した.生大豆粉のペプシンによる人工消化率は,照射によって変化しないが,酵母の場合は線量の増加とともに高くなった.
    2. 生大豆粉のトリプシンインヒビターの活性は,10 Mradの照射で18%,20 Mradの照射で58%低下し,等量の水を加えるとさらに活性低下は著しかった.しかし4~5 Mradの殺菌線量での活性低下は数%と推測され,ほとんど影響は考えられない.
    生大豆粉中の有効性リジン含量は,線量の増加に従って若干減少し,20 Mradでは減少率18%になった.しかし,乾燥トルラ酵母では同線量でほとんど変化しなかった.
    3. 数種の配合飼料原料および配合飼料に,ケナガコナダニを混入して10~160 Kradの電子線を照射して殺虫線量を求めた結果,ダニの不妊化を考慮するならば,50 Kradで十分と思われた.
  • II. 飼料原料の栄養価におよぼすγ線照射の影響
    梅田 圭司, 川嶋 浩二, 佐藤 友太郎, 戸塚 耕二, 庄司 圭吾, 麻生 和衛
    1971 年 42 巻 12 号 p. 624-629
    発行日: 1971/12/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    マイロ,加熱処理脱脂大豆および生脱脂大豆にγ線を照射して,これら原料を含む飼料を調製しひなの発育におよぼす影響を調べた.その結果,
    1. 照射マイロ区は,飼料の摂取量が増大し,飼料要求率が増大した.これは,γ線の照射によりマイロの代謝エネルギー価の低下したことによるものと考えられた.
    2. 加熱処理脱脂大豆に照射した区は発育の低下および飼料要求率の増大がみられた,これは,放射線による蛋白質の栄養価の低下および飼料原料中の残存油脂の酸化による影響によるものと考えられた.
    3. 生脱脂大豆に照射した区はひなの発育,代謝エネルギー価および蛋白質の消化率が改善された.これは,照射によりトリプシンインヒビターやその他生脱脂大豆中に含まれる有害成分が破壊されたためと考えられた.照射により,栄養価の低下は考えられるが,一方,有害成分の破壊されることにより,差し引きプラスの結果になったものと考えられた.
    4. 照射により,生脱脂大豆中に含まれるトリプシンインヒビターの活性値は低下した.生脱脂大豆給与により,ひなの膵臓の肥大がみられたが,照射することにより,膵臓肥大の程度は軽減された.
    5. 照射飼料を給与したすべてのひなを解剖し,内臓諸器官の観察を行なった.肉眼的にみて,照射に由来すると思われる変化は何ら認められなかった.
  • 岡野 香, 岡本 正幹
    1971 年 42 巻 12 号 p. 630-633
    発行日: 1971/12/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    岐阜地鶏の雄は赤笹型の羽装を示すが,雌には赤笹型の羽装と黄笹型の羽装を示すものがある.また初生時綿毛には縦斑綿毛と黄色綿毛がある.岐阜地鶏におけるこのような赤笹型,黄笹型および縦斑綿毛,黄色綿毛の遺伝的関係を明らかにする目的で交配試験を行なった.
    その結果,初生時綿毛が濃縦斑綿毛であった雌はすべてが赤笹型羽装を示し,綿毛が黄色綿毛であった雌はすべてが黄笹型羽装を示した.雄においては初生時綿毛の型にかかわらずすべてが赤笹型羽装を示した.初生時に濃縦斑綿毛であった雄と黄色綿毛であった雌との交配,およびその逆交配を行なうと,いずれの場合も淡縦斑綿毛のヒナのみを生じた.淡縦斑綿毛ビナは成育後雌雄とも赤笹型羽装を示した.淡縦斑綿毛雌雄を交配すると縦斑綿毛ビナ44(濃縦斑綿毛13,淡縦斑綿毛31):黄色綿毛ビナ18が得られた.このことから初生時綿毛を濃縦斑綿毛に,成鶏雌羽装を赤笹型に決定する遺伝子はe+であり,綿毛を黄色に,雌羽装を黄笹型に決定する遺伝子はeyであろうと推定された.またヘテロ(e+ey)の個体は初生時には淡縦斑綿毛を示し,成鶏羽装は赤笹型を示す.
  • III. 測定精度に影響する要因の解明
    石井 忠雄, 田名部 雄一, 玉置 禎紀, 正田 陽一
    1971 年 42 巻 12 号 p. 634-640
    発行日: 1971/12/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    1) 希薄溶液中のサイロキシンは,硬質ガラス製,スチロール樹脂製および硬質ポリエチレン製の容器壁に吸着されやすいが,吸着はブロピレングリコールまたは血漿の存在により防止される.
    2) サイロキシンとヨード131標識トリヨードサイロニンとの競合を利用しているこの測定法で最も重要な役割を演じている血漿蛋白質はサイロキシン結合グロブリン(TBG)であり,TBGを含む血漿は標準血漿として使用できる.
    3) アセチル化ポリピニルアルコールスポンジとラジオステレオアッセイの原理とを利用して家畜の血漿中サイロキシン測定法を得た.
  • IV. ACTH注射が血漿中副腎皮質ホルモン濃度および血液中好酸球数に及ぼす影響について
    佐々木 義之, 道後 泰治, 川島 良治, 上坂 章次
    1971 年 42 巻 12 号 p. 641-647
    発行日: 1971/12/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    ACTHの腹腔内注射後の血漿中副腎皮質ホルモン(以下11-OHCSと略す)濃度および血液中好酸球数の変化が,ウシ,ヒツジ,ウサギ,ラットについて調べられた。さらに,それらの反応の動物の種による差異について考察がなされた.
    1) ACTHに対する反応のみられることが知られている量のACTHを注射したとき,いずれの動物においても急速に血漿中11-OHCS濃度は上昇し,ピークに達した後,減少した.このピークに達するまでの時間はウシ,ヒツジ,ウサギ,ラットで,それぞれ2,2,1,1/2時間であった.
    2) このピークに達するまでの時間は,ACTHの注射量にかかわらず,ヒツジにおいては一定であった.
    3) 同一基準で計算された量のACTHに対する血漿中11-OHCS濃度の反応強度は,ウシがもっとも高く,ついでヒツジ,ウサギの順であり,ラットが一番低かった.これらの差はいずれも有意であった(p<0.05).
    4) ACTHの注射後血液中好酸球数はウシとヒツジでは著しく減少したが,ウサギでは増加し,ラットでは変化がみられなかった.
    5) ACTHを注射した後,血漿中11-OHCS濃度のピーク時における,コルチゾールのコルチコステロンに対する比(F/B比)はウシとヒツジでは正常のものよりも高かったが,ウサギとラットでは正常のものよりも低い傾向にあるように思われた.
  • Shigehiko MASAKI, Yoshinobu OHYAMA
    1971 年 42 巻 12 号 p. 648-652
    発行日: 1971/12/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
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