数種の配合飼料原料を電子線で高線量処理し,一般成分への影響,酵素による消化率の変化などを調べ,生大豆粉のトリプシンインヒビター,生大豆粉および乾燥トルラ酵母の有効性リジンにおよぼす影響,ケナガコナダニの放射線抵抗についても調べた.
1. 電子線で,6,10,20 Mradの高線量を照射したカンショでん粉粕,コーンコブミールをジアスターゼで,生大豆粉,乾燥トルラ酵母をペプシンで人工消化させた.でん粉粕,コーンコブミールともに線量を増すと,粗でん粉含量は少なくなるが,残った粗でん粉の人工消化率は,でん粉粕では線量とともに高くなり,コーンコブミールでは逆に低下した.生大豆粉のペプシンによる人工消化率は,照射によって変化しないが,酵母の場合は線量の増加とともに高くなった.
2. 生大豆粉のトリプシンインヒビターの活性は,10 Mradの照射で18%,20 Mradの照射で58%低下し,等量の水を加えるとさらに活性低下は著しかった.しかし4~5 Mradの殺菌線量での活性低下は数%と推測され,ほとんど影響は考えられない.
生大豆粉中の有効性リジン含量は,線量の増加に従って若干減少し,20 Mradでは減少率18%になった.しかし,乾燥トルラ酵母では同線量でほとんど変化しなかった.
3. 数種の配合飼料原料および配合飼料に,ケナガコナダニを混入して10~160 Kradの電子線を照射して殺虫線量を求めた結果,ダニの不妊化を考慮するならば,50 Kradで十分と思われた.
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