日本畜産学会報
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21 巻, 1 号
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  • 山本 藤五郎, 竹間 五郎
    1950 年21 巻1 号 p. 1-4
    発行日: 1950年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    普通のコテージ•チーズは酸味が強すぎるので,酸味が少くてクリームのはいつた香味のよいコテージ•チーズの製造について試驗した。
    なま脱脂乳からの製造要點は次の如くである。
    スターター添加量-原料脱脂乳量の2%,凝固温度-約21~22°C,カード加熱の最高温度-40°C,温湯によるホエーの置換-2囘,冷水によるカード粒の洗滌-2囘,加鹽量-カード量の2%,クリーム添加量-製品の脂肪含量が4%となるに十分な量。
    殺菌脱脂乳からの製造要點は次の3點以外はなま脱脂乳の場合と全く同樣である。
    スターター添加量-原料脱脂乳量の5%,凝固温度-約27°C,カード加熱の最高温度-45°C。
    何れの場合も酸味の少い香味のよいコテージ•チーズが得られたが,殺菌脱脂乳からのものはなま脱脂乳からのものより香味において一般に優つており,實質においていくぶん柔かく,僅かに糊状を呈していた。
    チーズの酸度およびpH價の平均値は,なま脱脂乳の場合はそれぞれ0.095%,4.73,殺菌脱脂乳の場合はそれぞれ0.082%,4.77で製品の酸味は何れも極めて温和であつた。
    なま脱脂乳の場合と殺菌脱脂乳との場合において,チーズの平均水分含量はそれぞれ77.35%と78.24%で大差なかつたが,平均收量はそれぞれ12.2%と14.79%で後者が前者より可なり多かつた。
    20°Cに貯藏したとき,コテージ•チーズのpHは殺菌脱脂乳の場合も,なま脱脂乳の場合も,共に製造直後は4.6~4.7であるが,2日後に4.2~4.3となり,6日目までその後の變化は極めて僅かであつた。
    殺菌脱脂乳からのチーズは6日後においても餘り著しい香味の變化は認められなかつたが,なま脱脂乳からのものは3~4日目頃から不良臭味が發生し,これはその後次第に強くなつた。これより殺菌脱脂乳からのコテージ•チーズはなま脱脂乳からのものよりも著しく保存性のよいことが明らかになつた。
  • 石橋 武彦
    1950 年21 巻1 号 p. 5-10
    発行日: 1950年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    (1) 終夜區,點滅區,對照區の3群に分けて光が鷄の發育及び産卵に及ぼす影響を觀察した。
    (2) 發育に就いては3群とも殆んど差異が認められないことから,光は鷄の發育に對して殆んど影響を及ぼさないものと思はれる。
    (3) 光線照射により,其の個體の脳下垂體前葉の重量の増大及び生殖腺刺戟ホルモンの産出に影響を與える。&細胞に機能亢進の像がみられることから光は先づ脳下垂體前葉を刺戟し,其の生殖腺刺戟ホルモンの分泌を促し,二次的に生殖腺の發達を促すことが細胞學的にも裏付けられる。
    (4) 鷄を點燈飼育することによつて初産日齡を短縮し,冬季に於て日照時間の減少により産卵を低下する時期に於ても尚或程度の産卵を持續し得る。
    (5) 脳下垂體前葉の刺戟に對して光の効果は其の絶對量によるものではなく,毎日一定量の光をあたへるよりも量を變化させた方が有効であると思はれる。
    (6) 鷄に於ても他の動物に於けると同樣光は脳下垂體前葉の生殖腺刺戟性に對して,最も有力な要因であるが,絶對的なものでなく,温度,濕度,飼料その他の外的要素も關係すると思はれ,然もこれらは單獨に働くものではなく,すべての要素が一諸になつて内分泌機能に關聯するものとみられる。
    欄筆するに臨み,終始御懇篤なる御指導を賜つた加藤教授並びに研究遂行上種々の御便宜をはかられた許りでなく,實驗のため設備の一部の使用までも許された福岡縣種鷄場長小柳武夫技官及び武谷格技官更に動物飼育に萬全を期せられた場員各位に對し深く謝意を表する。
  • 第7報 Lactoprolactin中のtyrosineの微量測定について
    岩村 嵒
    1950 年21 巻1 号 p. 11-14
    発行日: 1950年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    (1) FOLIN-MARENZI氏法により最初純tyrosine溶液,精製卵albumin,生卵白及び精液のtyrosineの定量を行い後lactoprolacinのtyrosine含量の測定を行つた。
    (2) 精製lactoprolactinは多數の測定の平均値として3.08%のtyrosineを含有する。
    (3) 市販精製卵albumin A及びBのtyrosine含量は夫々3.84及び3.78%である。又卵白乾燥物には2.69~2.88%,精液乾燥物には1.99%のtyrosineを含有している。
    實驗に際しては本學部畜産科中廣義雄氏の助力を得た點が多いのでこゝに謝意を表する。尚本研究の經費は文部省科學研究費によつたことを附記する。
  • 第8報 Lactoprolactin中のtryptophaneの微量測定について
    岩村 嵒
    1950 年21 巻1 号 p. 15-20
    発行日: 1950年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    (1) Lactoprolactinのtryptophane含量の測定にあたり最初vanillin法によつて精製卵albumin,生卵白及び純tryptophane溶液のtryptophaneを定量し,後lactoprolatcinについて測定を行つた。同樣にしてglyoxylic acid法でtryptophaneの定量を行い兩法を比較檢討した。
    (2) 精製lactoprolactinのtryptophane含量はglyoxylic acid法で2.56%である。尚定量實施に當りSHAW-MCFARLANE氏法の改變について記述した。
    (3) 精製lactoprolactinのtryptophane含量はvanillin法で1.88%である。尚測定實施に當りSTREPKOV-MAVLIANOV氏法とglyoxylic acid法とを比較檢討した。
    (4) 卵albumin A及びBはglyoxylic acid法で夫々1.18及び1.22%のtryptophaneを含有する。同法で牛乳は100cc當り69.2mgのtryptophaneを含む。然し卵albumin A及びBはvanillin法でば夫々0.87及び0.94%のtryptophaneを含み又同法で卵白の4層の乾燥分についてtryptophahe含量は1.42~1.50%である。
    研究實施に當りては本學部畜産科中廣義雄氏の助力を得た點が多い,こゝに謝意を表する。尚本研究の經費は文部省科學研究費にょつたことを附記する。
  • 廣瀬 可恒
    1950 年21 巻1 号 p. 21-24
    発行日: 1950年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    1. 初生仔山羊1頭及び1週齡の仔山羊1頭に就き,9週齡の末に至る間の窒素出納試驗を行なひ,乳養期間の窒素代謝の變遷を研究した。
    2. 完全乳養期の乳汁蛋白質の消化率は94.9~96.1% で,次の乳汁と乾草給與期の乾草粗蛋白質の消化率は54.1~61.5%であつた。
    3. 乳養期に於ける尿排泄窒素量は生體量に比例して増加し,生體量1000kg當りの尿排泄窒素量は284~ 291gで,犢牛より約4割高い。
    4. 生後1週間の窒素の蓄積率は72.3%の高率であるが,年令の進行と共に漸減し完全乳養期末の第4週令時は60.8~62.6%,第9週齡では42.6~45.8%となつ た。
    5. 體重は窒素の蓄積量と比例して増加し,増體量の 約80%が筋肉組織の増加と見做される。
    6.單位生體量當りの蛋白質蓄積日量は,生後の第1週で最大で,其後急速に減少し,第4週では約1/2,第9週では約1/3に低下する。(昭.24.10.19.受付)
  • 細田 達雄
    1950 年21 巻1 号 p. 25-27
    発行日: 1950年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    余は馬の〓癖の原因が單に飼養管理の不良或は隣馬の〓癖の模倣等に依つてのみ發現するとの考へには未だ疑問の點が多々あると感じ,國有種畜牧場及び民間農場の馬に就て血統的に調査を行つて來た結果,大體次の如き成績を得た。
    1. 馬の〓癖の普遍的發現頻度は1.1%である。
    2. 〓癖素質を強く持つて居ると考へられた血統馬に於ける〓癖の發現頻度は7.1%及び8.3%であつた。
    3. 〓癖素質を全く有しないと考へられた馬の血統中には1頭の〓癖馬も生産されて居なかつた。即ち〓癖は遺傳的特異素質を必要條件として發現すると考へられる。
    4. 〓癖は輕種に於ては比較的早く,3歳頃より現われ,中間種其他では之より遲く,一般に5歳以後に現われる。
    5. 〓癖素質は劣性遺傳の傾向を持つ樣である。擱筆するに當り本研究に對し御指導と御校閲を賜つた東京大學農學部名誉教授増井清博士に對し謹みて感謝の意を表すると共に,貴重なる材料を頂いた各國有牧場並に小岩井農場の各位に對し深謝す。
  • 伊木 尚幸
    1950 年21 巻1 号 p. 28-30
    発行日: 1950年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    (1) 家兎の表皮は日齡的に觀て幼時より生後100日位迄は著變無く600μ前後を有ずるが150日頃より激増し1年餘で最高に達し其以後次第に減厚し1500μ程度に落督くものと思はれる。
    (2) 皮膚組織中表皮は眞皮の1/10~1/20程度であり皮膚の發育は即ち眞皮の發達を意味するものであり表皮は漸次角化して數字的には現れて來ない。
    (3) 部位に依る皮厚の差異は肩部最も厚く,次で腰部,頸上部,下腹部,尻部の順であつた。外來感作の強く當る部位即ち肩及び腰部の皮厚が最も大である事は他動物の場合と同一であつた。而しながら表皮係數は必ずしも肩及び腰部が大でなく反つて尻部が最も大であり從つて表皮と皮厚的關係は認められなかつた。
    (4) 性別にては牡表皮が牝に比較し顯著に厚いが皮膚全皮厚としては著變無し。只生時及び生後5箇月以後にては皮厚は若干大であつた。
    (5) 動物の皮厚は榮養及び年齡に最も大きく支配せられてゐるが,以上の事よりして兎毛皮製造には年齡約1年以後のもので體重の多しものを選び採皮鞣製するのが最も良い事になる。
  • 中村 亮八郎
    1950 年21 巻1 号 p. 31-35
    発行日: 1950年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    桑葉又は數種の野草混合物のみを用ひて仔兎を飼育し,その育成々績を野草に濃厚飼料を併用したものと比較檢討し,更に生産物に對する一般的調査をも行つた。
    生桑葉は養兎飼料として好適であり,單用する場合にも,野草に濃厚飼料を併用した場合に劣らない効果を擧げる。野草は本試驗に於ける4種の混合物を用ひた場合,仔兎の育成が一應可能であるが,その成績は桑葉よりも明かに劣る。
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