普通のコテージ•チーズは酸味が強すぎるので,酸味が少くてクリームのはいつた香味のよいコテージ•チーズの製造について試驗した。
なま脱脂乳からの製造要點は次の如くである。
スターター添加量-原料脱脂乳量の2%,凝固温度-約21~22°C,カード加熱の最高温度-40°C,温湯によるホエーの置換-2囘,冷水によるカード粒の洗滌-2囘,加鹽量-カード量の2%,クリーム添加量-製品の脂肪含量が4%となるに十分な量。
殺菌脱脂乳からの製造要點は次の3點以外はなま脱脂乳の場合と全く同樣である。
スターター添加量-原料脱脂乳量の5%,凝固温度-約27°C,カード加熱の最高温度-45°C。
何れの場合も酸味の少い香味のよいコテージ•チーズが得られたが,殺菌脱脂乳からのものはなま脱脂乳からのものより香味において一般に優つており,實質においていくぶん柔かく,僅かに糊状を呈していた。
チーズの酸度およびpH價の平均値は,なま脱脂乳の場合はそれぞれ0.095%,4.73,殺菌脱脂乳の場合はそれぞれ0.082%,4.77で製品の酸味は何れも極めて温和であつた。
なま脱脂乳の場合と殺菌脱脂乳との場合において,チーズの平均水分含量はそれぞれ77.35%と78.24%で大差なかつたが,平均收量はそれぞれ12.2%と14.79%で後者が前者より可なり多かつた。
20°Cに貯藏したとき,コテージ•チーズのpHは殺菌脱脂乳の場合も,なま脱脂乳の場合も,共に製造直後は4.6~4.7であるが,2日後に4.2~4.3となり,6日目までその後の變化は極めて僅かであつた。
殺菌脱脂乳からのチーズは6日後においても餘り著しい香味の變化は認められなかつたが,なま脱脂乳からのものは3~4日目頃から不良臭味が發生し,これはその後次第に強くなつた。これより殺菌脱脂乳からのコテージ•チーズはなま脱脂乳からのものよりも著しく保存性のよいことが明らかになつた。
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