豚肉の常在的な無機成分のうたカルシウム(Ca)についてその含量を明らかにし,また2,3の要因-測定年度(1965,1966および1968年),季節(春および秋),品種(ランドレース種およびヨークシャー種),筋肉(半膜様筋,胸最長筋,頭半棘筋および咬筋)および性(雌および去勢雄)による差異を検討した.すなわち,履歴が明らかで,飼育条件および屠殺方法などが規定されている65頭のブタから筋肉試料を採取し,ポーラログラフ法によりそのCa含量を測定して,つぎの結果を得た.豚肉のCa含量を,新鮮物中および灰分中の値で各要因別に示した(表1).そのうち全試料(219個)についての平均値(95%信頼限界)および変動係数は,新鮮物100g中で6.0±0.3mgおよび31.7%,灰分1g中で5.5±0.2mgおよび33.5%であつた.また2,3の要因による豚肉のCa含量の差異は,主効果では筋肉要因の場合が最大で,品種要因がこれにつぎ,季節要因もかなり大きかつたが,年度要因および性要因の影響は全く認められなかった.交互作用では,年度×品種が有意の大きな影響を,また季節×品種および季節×筋肉が有意の影響をそれぞれ示した.
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