日本畜産学会報
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39 巻, 4 号
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  • 兼松 重任
    1968 年 39 巻 4 号 p. 143-155
    発行日: 1968年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • (その1)アミノ酸からの揮発性脂肪酸の生成
    細野 明義
    1968 年 39 巻 4 号 p. 156-161
    発行日: 1968年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    B. linensの生産する独特な風味を組成的に明らかにする目的で諸種揮発性物質について定性的あるいは定量的に検討し,その結果はすでに報告した.その中で揮発性脂肪酸(VFA)の生成も認められることから,本報ではそれらVFAの前駆物質を検索する目的でアミノ酸からのVFA生成について検討した.その結果,次に示す如く,アミノ酸がB. linensの作用を受けVFAになり得ることを認めた.まず,レンネットホエーにグリシンやカゼイン加水分解物であるカザミノ酸などを添加すると無添加の場合よりも揮発酸の生成が著しく増加することが認められ,これら物質がVFAの生成に重要な役割を演じていることが予想された.そこで,グリシン他7種のアミノ酸を単独で燐酸緩衝液(pH5.0-9.0の各範囲)に溶解させ,これにB. linensのresting cellsを21°Cで3時間作用させると,供試のいずれのアミノ酸からもVAFが生成され,いずれも中性からアルカリ側において生成量が最大であつた.また,生成したVFAの総VFAはグリシン,アラニン,ロイシンの場合で多く,各量の生成量においてはアラニン,グリシン,ロイシンからの酢酸,ロイシンからのi-吉草酸およびシスチン,アラニン,アスパラギンからのカプロン酸等が多い傾向にあつた.
  • 粂野 文雄, 西松 一郎
    1968 年 39 巻 4 号 p. 162-167
    発行日: 1968年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    1. ルーメン細菌の洗滌菌体を使い,各種飼料をinvitroで分解させ,乾物減少率,揮発性脂肪酸生成量を測定した結果,めん羊による消化率との間に高い相関が得られた.すなわち乾物,可溶無窒素物,有機物等の見かけの消化率およびTDNはin vitro乾物減少率および揮発性脂肪酸生成量と1%水準で有意の相関を示した.
    2. 飼料原料について同様の培養法で揮発性脂肪酸生成量と乾物減少率を求めた結果,TDNの文献値との間に1%水準で有意の相関が得られた.
    3. in vitroの揮発性脂肪酸生成量と乾物減少率とは極めて類似した傾向を示すので,飼料の栄養価の評価には測定の容易な乾物減少率を使つた方がよい.
  • III. 材料の水分含量,詰込み密度およびサイロ内の気体の置換の影響
    大山 嘉信, 柾木 茂彦
    1968 年 39 巻 4 号 p. 168-174
    発行日: 1968年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    サイレージ発酵に及ぼす材料の水分含量(予乾程度),踏圧の程度および詰込み時のサイロ内の気体の影響を知るために,1l容の実験サイロを用いて実験を行ない,次の知見を得た.
    1. 材料の水分を少なくした場合には,pHが高く,総酸含量が少なく,酪酸はほとんど認められなかつたが,水分含量が高まるにつれて総酸の量は多くなつた.高水分の場合は,条件の違い(おそらく可溶性炭水化物の含量)によつて,乳酸が多くpHが低くなるものと,酪酸が多くpHが高くなるものとがあつた.
    2. 踏圧の程度が軽い場合には,一般に,重圧区よりも総酸量,乳酸量が少なく,pHが高かつた.しかし,重圧区の品質が悪い場合には,軽圧区の方が酪酸が少なく,乳酸の多いものができた.
    3. 詰込み時のサイロ内の空気を,酸素あるいは窒素によつて置換しても,発酵過程において外気の侵入がなければ,サイレージの品質に大きな差異は生じなかつた.
  • IV. 豚血清中における赤血球に対する抗体の分布ならびに抗体産生要因について
    茂木 一重, 大石 孝雄, 阿部 恒夫, 姫野 健太郎, 細田 達雄
    1968 年 39 巻 4 号 p. 175-179
    発行日: 1968年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    各年令の豚402頭につき,血清中の抗体の分布状況を調べた結果,次のような結論を得た.
    1) 全調査豚402頭中62.2%のものが2倍稀釈以上の抗体価を有し,経産雌豚においては134頭中30%が32倍稀釈以上の抗体を所有していた.
    2) 品種間に抗体所有の差異がみられ,Landrace種,Benkshire種はYorkshire種に比べて,陽性率,平均抗体価ともに高い傾向が認められた.
    3) 豚コレラワクチン(CVV)には豚に対する特異的な赤血球抗原が認められ,その接種が抗体産生の要因となることが推察された.
    4) 妊娠によつて抗体が産生される可能性がみられたが,結論を出すことはできなかつた.
  • I. 乳牛
    庄武 孝義, 野澤 謙
    1968 年 39 巻 4 号 p. 180-187
    発行日: 1968年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    近年,家畜の人工授精技術の発達により,特に乳牛の繁殖構造の変化は著しいものがある.種雄牛の数が減じ,種雄牛の残す子の数の変異性が増大してきた結果,集団の有効な大きさは減少してきている.野沢5,6)(1962,1965)は血統分析から,この繁殖構造の変化により,集団内平均血縁から寄与される近親交配の量が増大してきていることを観察した.
    近親交配が増大すれば,近交退化の発現が懸念される.そこで日本における乳牛集団の近交退化についての知見を得るために,農林省福島種畜牧場および新冠種畜牧場の繁殖記録より,MORTON, CROW and MULLER3)(1956)の-logeS=A+BFの回帰式を求めることによつて,遺伝的負荷の量を推定した.ここでSは生存率,Aは環境による死亡および近親交配によらない(F=0)遺伝的死亡,Bは近親交配によつておこる遺伝的死亡を表わし,2Bが1接合体当りの致死相当量の下限を,2(A+B)が上限を表わす.
    福島集団で接合体当りの致死相当量値は約1と推定されたけれども,両集団における遺伝的負荷の量は低く,統計的に有意なものではなかつた.故に,これらの集団に関する限り,有害遺伝子はすでに除かれていて,繁殖能力に関する近交退化は,強い近親交配を行なつても,それ程著しいものではないと思われる.
    しかしながら,この両集団は特殊なものであり,近交退化がおこつた場合,直接経済的損害を受けるのは一般農家であるから,進伝的負荷の量は一般農家をも含めた集団で調査される必要がある.
  • 保井 忠彦, 永田 征夫
    1968 年 39 巻 4 号 p. 188-190
    発行日: 1968年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    草類蛋白質の栄養価判定には,従来白鼠による成長試験9),あるいは生物価の測定10)が行なわれていて,まれには豚,牛が用いられている.先に森本9)は牧草類などの蛋白質の栄養価を白鼠による成長試験で測定し,いずれも魚粉,大豆粕に比べて栄養価がかなり劣ることを報告している.また亀高3)は白クローバー生草単食で家兎の成長可能なことを,著者の一人5)は青刈大豆葉単食で成熟家菟の体重維持の可能なことを報告した.一方,緑葉植物茎葉蛋白質のアミノ酸組成はいずれもかなり類似し,その組成より考えて,栄養価も秀れているものと思われる1).この相反した知見に対し,著者の一人6)は青刈大豆通風乾燥葉を用いて,白鼠の成長試験および蛋白質の生物価測定を行なつた結果から,この相違は牧草類などは繊維含量が高く,その蛋白質の消化が白鼠では,反芻動物や家兎に比べて著るしく悪いことに原因があることを明らかにし,その生物価の測定は草食動物,たとえば家兎を用いた方がよいことを結論した.
    しかるに,従来Thomas-Mitchellの方法による蛋白質の生物価測定が家兎によつて行なわれないのは,その無蛋白質飼育がうまく行なわれないことにある.家兎の無蛋白質飼育の試みは,すでに広瀬2)らによつてなされているが,食下量が少なく,充分満足すべき成果は得られていない.著者らは家兎の嗜好に適した無蛋白質飼料を調製し,正堂な摂取量で,長期飼育を可能にすることを目的として本実験を行ない,一応満足すべき結果を得たので,その概要を報告する.
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