日本畜産学会報
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38 巻, 5 号
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  • 2. りん脂質の分画定量法および牛乳と人乳のりん脂質量について
    土肥 達, 森 茂, 仁木 達, 三野 和雄
    1967 年38 巻5 号 p. 181-186
    発行日: 1967/05/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    りん脂質の分画定量法,すなわち加水分解法,酸化マグネシウム吸着法,硅酸カラムクロマトグラフィー法について5回繰返し実験を行ない,その結果をTUKEYの多重検定法で検討した.各分画定量法とも再現性があまりよくなく,分析方法間にも差があつた.しかし硅酸カラムクロマトグラフィー法がもつともよい方法と考えられる.
    牛乳および人乳のりん脂質量(レーゼ•ゴットリーブ法で測定)はそれぞれ平均0.0289%(20試料),0.0241%(15試料)でわずかに人乳のほうが低かつた.各りん脂質の割合,すなわちレシチン:ケフアリン:スフィンゴミエリンは牛乳で大体4:4:2,人乳で大体4:2:4であつた.
  • IX. バヒアグラス(Paspalum notatum FLUGGE var. Pensacola)の化学的成分と飼料価値におよぼす窒素施肥水準と生育段階および生育相の影響について
    三秋 尚
    1967 年38 巻5 号 p. 187-193
    発行日: 1967/05/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    バヒアグラス(Paspalum notatum FLUGGE var. Pensacola)の化学的成分と飼料価値におよぼす窒素施肥水準(40kg対10kg(10a当)),生育段階(伸長初期,伸長後期,出穂初期,乳熟期)と生育相(1番草対2番草)の影響について検討し次の結果を得た.
    1. 窒素多肥によつて粗蛋白質含量が増加し,特に伸長期に著しく増加し,反面NFE含量が減少した.2番草においても粗蛋白質含量がいくらか増加した.粗リグニン含量は窒素施肥水準と生育段階による影響をほとんどうけなかつた.
    2. 窒素多肥により各成分の消化率が出穂初期までの生育段階で増加したが統計的に有意な増加は乾物と粗蛋白質消化率の伸長初期と出穂初期,粗繊維消化率の出穂初期までの生育段階にみとめられた.またDCP含量が出穂初期までの各生育段階と2番草で有意に増加し,TDN含量は伸長初期にのみ有意に増加した.
    3. 粗蛋白質含量とDCPおよびTDN含量の間に正の有意な相関がみとめられ,その相関係数はそれぞれ0.969(P⟨.001),0.908(⟨.001)であつた.
  • 庄司 圭吾, 鈴木 敏明, 戸塚 耕二, 麻生 和衛
    1967 年38 巻5 号 p. 194-200
    発行日: 1967/05/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    ひなによるリジンの要求量を求め,リジン欠乏飼料給与ひなのエネルギー代謝におよぼす影響についての実験を行なつた.ゴマ粕とサフラワー粕を蛋白質源とするリジン欠乏飼料に,L-リジン塩酸塩を添加して,粗蛋白質含量19.4%乾物100g当りの代謝エネルギー価327Kcalの飼料を7日令から21日令まで給与した結果,リジンの要求量は飼料中1.03%であつた.リジンが飼料中1%以下では,蛋白質の蓄積率は段階的に低下した.しかしリジンが欠乏しても飼料の代謝エネルギー価には影響がなかつた.リジン欠乏のはげしい場合には,摂取した代謝エネルギーのうち熱として失われるエネルギーが多く,代謝エネルギーの屠体への蓄積率が低下したが,リジンが僅かに欠乏している場合には,蛋白質の蓄積率は低下したが脂肪として蓄積される割合が多く,代謝エネルギーの屠体への蓄積率は要求量を満した区と差はなかつた.
  • V. 維持および体量増加に対する各種栄養素の熱量増加
    桜井 斉, 田先 威和夫
    1967 年38 巻5 号 p. 201-211
    発行日: 1967/05/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    維持および体量増加に対し給与した栄養素の熱量増加が,栄養素のバランスによつてどのように変化するかを調査するために本試験を行なつた.維持に対する栄養素の熱量増加の測定には,栄養成分を単独に給与するために,カゼイン•ゲラチン飼料,コーンスターチ飼料,およびラード飼料を,また栄養成分を同時に2種以上組合せて給与するために,カゼイン•コーンスターチ飼料,カゼイン•ゲラチン•コーンオイル飼料,コーンスターチ•コーンオイル飼料,およびカゼイン•コーンスターチ•コーンオイル飼料を用いた.体量増加に対する栄養素の熱量増加の測定には,基礎飼料として市販大雛用飼料に16.6%のコーンスターチを混合したものを維持必要量与え,これにカゼイン,コーンスターチ,およびコーンオイルを単独にまたは2種以上の組合せによつて維持必要量の50%に相当する量を添加給与した.
    各栄養成分の窒素およびエネルギーの消化率は,維持に対して給与した場合と,体量増加に対して加給した場合とで,ラードを除き,栄養成分の組合せおよび基礎代謝率の高低に関係なく一定であつた.またそれぞれの代謝エネルギーは,その窒素含量が高くなるにつれて低下したが,2種以上の栄養成分より成る飼料の代謝エネルギーは,1種の栄養成分で測定した代謝エネルギーの実測値より算出した値と全く差がなかた.
    供試栄養成分を,単独に給与して測定した維持および体量増加に対する熱量増加は,脂肪が最も低く,炭水化物と蛋白質は高く,かつ,この両者にはほとんど差異がなかつた.しかし供試栄養成分を2種以上同時に給与して測定した熱量増加は,1種の栄養成分を給与したときに得られた値を用いて算出した値に比し,維持に対するコーンスターチとコーンオイルの組合せによる場合を除き,すべての給与形態において低くなつた.特に蛋白質と脂肪の併用によりその低下が著しかつた.
  • III. 低Ca飼料によるCa代謝の変化
    伊藤 宏
    1967 年38 巻5 号 p. 212-217
    発行日: 1967/05/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    7羽の産卵鶏を用い,それぞれの産卵クラッチ後の1休産日とその翌日の2日に亘つて低Ca飼料(Ca 0.1%)を与え,その後再び正常Ca飼料(Ca 3.0%)に戻した.低Ca飼料の第1日にCa45を経口投与し,排泄物および卵殻のCaとCa45量を測定し,低Ca飼料給与時における産卵鶏のCa代謝の変化について検討を加えた.
    低Ca飼料を与えることによつて,卵殼Ca量と血中Ca濃度は明らかに減少し,両者間に有意の相関がみられた.低Ca飼料給与後にえられた2卵(第1,第2卵)とそれに続く正常Ca飼料に戻した時の1卵(第3卵)の卵殼Ca45含量はそれぞれ45~65%,11~13%および3~5%であつた.卵殼を5層に分けて測定した結果,第1卵ではそのCa45比放射能は内層から外層に向つて急激に減少した.第2卵々殼のCa45は骨に蓄積したCa45から由来し,各層の比放射能はほぼ一定していた.第3卵々殼Caの多くは正常飼料のCaによつてまかなわれ,Ca45は骨から与えられている.各層の比放射能は第1層から第4層まではほぼ一定の低い値を示したが,最外層では急に高い値を示した.これはこの層が形成される時に与えられた飼料Caが骨へ急速に蓄積されることによつて,骨Ca45が大量に溶脱され卵殻に利用されたことによると考える.3日間のCa排泄量は8%で,卵殼蓄積量と比べて極めて少量であつた.正常飼料に戻してからの24時間のCa45排泄量は,低Ca飼料での終りの24時間における値よりも逆に高い値を示した.
    産卵鶏では飼料Caが欠乏すると骨Caが卵殼の形成に大量に利用されるので,骨Ca量は急速に減少し,その後充分な量の飼料Caが与えられるとそれは骨および卵殼へ盛んに蓄積される.同時に骨Caの溶脱はなおも続き,その溶脱量は骨蓄積量の増大にともなつて増加するものと考えられる.従つて,骨におけるCaの交換過程および割合は,骨のCa量,Caスペースおよび飼料Ca量とその採取時刻と卵殼形成時刻との関係などから極めて複雑に変化し,骨Ca自体の1ife spanもこれらの条件によつて変化するものと思われる.
  • 湯原 正高, 和田 宏
    1967 年38 巻5 号 p. 218-222
    発行日: 1967/05/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    この研究は, Hexestrolの誘導体であるHexestrol dicaprylateのブロイラーの発育促進効果を検討するために行なつた.
    Kimber 44を240羽用い,1区80羽ずつの3区に分け,そのうちの2区の雛に対して,31日令にそれぞれ5mgおよび10mgのHDCの油溶液を後頭部皮下に注射し,残りの1区は対照とした.
    HDCの注射はブロイラーに対し顕著な増体効果を示し,その効果は5mg区よりも10mg区の方が大きかった.注射区の体重は,対照区に比し.注射後の数日間に急速に増加し,週間増体量は2~3週に最高に達した.それ以後の週間増体量は対照区と同程度か,または,そ、れ以下になつた.飼料要求率はHDC注射により若干,改善された.
    供試鶏を8週令で屠殺したが,各区の平均体重に近い6羽ずつの解体成績において,注射区は対照区に比し,枝肉歩留りはわずかに優れていたが,腹部の脂肪沈着も若干多かつた.しかし注射区と対照区の間に肉質の差は認められなかつた.注射区の子宮輸卵管は肥大し,睾丸はわずかに小さかつた.
  • III. 子牛の筋肉別燐脂質組成と総燐脂質の脂肪酸組成
    中西 武雄, 須山 享三
    1967 年38 巻5 号 p. 223-229
    発行日: 1967/05/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    食肉の燐脂質の性状を調査する実験の一部として,子牛の咬筋,大腿二頭筋および背最長筋の燐脂質含量を定量し,燐脂質組成を燐脂質の加水分解産物のペーパークロマトダラフィーにより定量するDAWSON法を用いて定量を行なつた.また,上記3種の筋肉中に含まれる燐脂質,コレステロールエステル,トリグリセリドの脂肪酸組成と遊離の脂肪酸の分布をガスクロマトグラフィーを用いて調査を行なつた.これらの結果から,子牛の筋肉別の燐脂質の性状の差,成牛のそれと比較した場合の差,また燐脂質の脂肪酸組成と他脂質の脂肪酸組成の差などを比較し,次のような結果を得た.
    1) 子牛の筋肉には燐脂質が0.8~0.99%含まれており,すべての脂質の中で最も含量の多い成分であつた.また,これらの燐脂質含量は筋肉別による差がみとめられなかつた.
    2) 子牛の筋肉の燐脂質組成についても,筋肉別による差がみとめられないようであつた.
    3) 燐脂質の脂肪酸組成も子牛の場合は筋肉別による差がみとめられず,成牛の場合と異なつていた.脂肪酸組成について,燐脂質には炭素数20以上の脂肪酸が多いが,炭素数18以下の脂肪酸を比較した場合,燐脂質には他の脂質に比べて,パルミチン酸が少なく,リノール酸が多い傾向が認められた.
    4) 子牛と成牛の燐脂質の脂肪酸組成を比較した場合,子牛の筋肉の燐脂質には,成牛の場合に比較して,オレイン酸が多く,リノール酸とアラキドン酸が少なかつた.また,ジエン以上の不飽和脂肪酸含量も子牛の場合は著しく少なかつた.
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