日本畜産学会報
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49 巻, 11 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 田上 末四郎, 川渕 嘉久, 工藤 義民, 久池井 忠男
    1978 年 49 巻 11 号 p. 779-786
    発行日: 1978/11/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    マウスを用い,たん白質給与レベルの相違が繁殖成績に与える影響について検討した.供試マウスはICR-JCL系の未経産性成熟マウスで,1回の実験につき36頭(生後60~65日齢,平均体重30.5g)を3区に分けて試験飼料を給与したし飼料はエネルギー量をそろえた,たん白質標準レベル飼料,たん白質高レベル飼料およびたん白質低レベル飼料で,1日1頭当たり4.5gを給与して交配した.繁殖成績は受胎率,分娩間隔,産子数,乳子出生時体重ならびにその成長,生存率などの各項目について4産次まで継続して調査し,同実験を3回繰り返した.その結果,交配実頭数当たりの受胎率はたん白質標準レベル区に比較して高•低両レベル区とも有意に低く,また交配から分娩までの日数も両試験区が長かった.特に第1産次ではその差が顕著であった.産子数は標準区に比較して両試験区とも明らかに少なく,最高数が標準区では第3産次であったのに対し,両試験区では第2産次で以後低下した.乳子の成長は標準区内で第4産次がやや良好であった以外は各区とも産次別の差は認められず,分娩時から離乳時まで標準区に比較して両試験区が顕著に悪かった.以上の結果から,たん白質の過給および減給は共に繁殖成績を低下せしめることが明らかにされた.
  • 角田 幸生, 入谷 明, 西川 義正
    1978 年 49 巻 11 号 p. 787-793
    発行日: 1978/11/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    卵巣摘出ラット子宮内に移植された家兎受精卵の発育を継続させる目的で,各種ホルモン投与の影響を検討し,次の結果を得た.1. 卵巣摘出後各種のホルモン処置をしたラット子宮内に家兎桑実胚を移植した結果,無処置およびプロゲステロン投与後,エストロゲン1回投与のラットに移植した場合発育がみられ,テストステロン投与,プロゲステロン投与,エストロゲン•プロゲステロン併用投与およびエストロゲン•プロゲステロン•HCG併用投与区ではほとんど発育がみられなかった.2.移植された家兎桑実胚の発育は,プロゲステロンおよびエストロゲンの投与量に影響され,プロゲステロン4∼10mg/日を連続投与後,その最終日にエストロゲン5∼10μgを1回投与したラット子宮内に移植した場合の発育が最もすぐれていた.家兎桑実胚を移植後48時間目に回収したところ,交配後100∼105時間目に相当する状態の胚盤胞が得られたが,回収までの日数を長くしてもこれ以上の発育はみられなかった.
  • 原 慎一郎, 大山 嘉信
    1978 年 49 巻 11 号 p. 794-801
    発行日: 1978/11/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    サイレージ変敗防止剤の添加効果に及ぼす材料水分の影響,ならびに,薬剤添加に伴う微生物の消長の様相を調査することを目的として,イタリアンライグラスを材料とし,高水分および低水分サイレージを調製し,実験を行ない,以下の知見を得た.1) プロピオン酸の変敗防止効果は,本剤の材料水分中の濃度の上昇とともに強まる傾向を示した.2) サイロ開封後の7日間に,高水分サイレージの酵母フローラでは,プロピオン酸感受性菌から,抵抗性菌への交代が生起したと推察された.しかし,低水分サイレージでは,7日間を通して感受性菌が優勢であった.このことからサイレージでは薬剤の添加により薬剤抵抗性の違いによる微生物相の交代が常に生起するものとは考えられなかった.糸状菌数は,多くのサイレージで計測できず,本実験では詳細な検討はできなかった.3) 供試サイレージ(20例)中,変敗の生起したサイレ一ジ(9例)には,いずれも酵母が関与し,酵母•糸状菌型によるもの(7例)が多かった.また,酵母により変敗が誘発されたのち,細菌性の腐敗へ移行したと考えられるもの(2例)もあった.しかし,糸状菌型による変敗は認められなかった.
  • 桝田 博司, 英 強, 和出 靖
    1978 年 49 巻 11 号 p. 802-807
    発行日: 1978/11/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    2頭のリンパ肉腫(リンパ性白血病)牛について末梢血培養法により,染色体の観察を行った結果は,つぎの如くであった.Case 1:染色体の数的異常(2n=55∼61)を認めた他に,正常では見られない大型の中部着糸型の染色体,および極めて小さな染色体片のようなものが,観察したいずれの細胞にも認められた.また2n=57∼59を示した細胞の約26%(7/27)は,性染色体の一方が欠落していた.Case 2:観察された細胞のほとんどは正常な染色体像を示したが,2n=60を上まわる染色体の数的異常を示した細胞の出現率は約11%(4/35)であった.2n=63を示した細胞では,大きな次中部着糸型染色体1個および非常に小さな端部着糸型染色体3個が認められ,性染色体1個の欠落も認められた.
  • 宮本 元, 勝浦 五郎, 石橋 武彦
    1978 年 49 巻 11 号 p. 808-816
    発行日: 1978/11/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    顆粒膜細胞は卵胞のおもな構成分の1つであるとともに,ステロイドホルモンや蛋白質などを合成し,卵母細胞の成熟分裂開始は顆粒膜細胞の成熟によって支配される.このような重要な働きをもつ顆粒膜細胞の層の数と,卵胞腔の有無を卵胞の発育の判定基準として用い,ラットの発情周期と卵胞の発育との関係,およびPMSG処理が卵胞の発育におよぼす影響について検討した.人工昼夜における暗黒時間の中点を,動物飼育室の午前零時と規定すると,午前5時30分から午後6時30分までの13時間が飼育室の照明時間であった.各発情周期の午後1時30分に(発情前期は午後8時30分にも)屠殺して,卵巣を採取した.PMSGの投与は発情期の午前7時30分に行ない,30IUを皮下注射して,6∼78時間後に卵巣を採取した.無処理ラットでは,顆粒膜細胞が2層以上ある卵胞は卵巣1個あたり67.7∼87.5個あり,また発情周期とこれらの卵胞数の間には相関はなかった.各周期を通じて,顆粒膜細胞が2層以上の卵胞のうち,顆粒膜細胞層の数が2∼3(stage I), 4∼5 (stage II), 6∼7 (stage III)および8以上(stage IV)の卵胞の割合は,それぞれ38.8-42.7,9.1-20.8,0,4-2.3および0.7-1.2%であった.初期卵胞腔(stage V)または成熟卵胞腔(stage VI)をもつ卵胞の割合は,29.9-43.1および3.4-6.0%であった.stage VIの卵胞は,発情前期に多くなる傾向がみられたが,有意差はなかった.卵巣1個当りのstage I∼VIの卵胞総数,および発情周期における卵胞発育の量的動向に関しては,未経産ラットと経産ラットの間に差はなかった.30 IUのPMSGで処理して54および78時間後のstage VIの卵胞数は,対照より増加した.PMSG処理によって,stageI,IIおよびVの卵胞数は対照より少し増加する傾向がみられたが,有意差はなかった。無処理ラットにおける閉鎖卵胞の出現は発情周期と無関係であり,PMSG処理によっても減少はみられなかった.
  • 並河 鷹夫, ウイジ ウイドド
    1978 年 49 巻 11 号 p. 817-827
    発行日: 1978/11/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    インドネシア産家畜牛289個体について血液試料が採取され,これらは(1) バリ牛62個体,(2) マズラ牛46個体,(3) グラティ種61個体,(4) フィリアル•オンゴール種55個体,(5) 一般地方種52個体および(6) バリ牛に特徴的な毛色を部分的に示す牛13個体の計6群に分類されて調査された.得られた試料はヘモグロビン型(Hb型),および血清アルブミン型(Alb型)について,電気泳動法により分析された.Hb型表現型にはHb-A,AB,B,AX,BX,およびX,Alb型にはAlb-A,AB,B,ACおよびBCの各型が出現した.Hb-Xはベータ鎖においてHb-AおよびHb-Bと区別されることが証明され,これらの変異が同一遺伝子座によって支配されていると結論された.HbX遺伝子はバリ牛において最も高い頻度(80,65%)で出現した.東南アジアの在来牛集団において,5.7∼20.1%の頻度でHbX遺伝子が存在することが報告されている.今回調査されたインドネシアの5つの型の牛集団において,HbX遺伝子が約3∼23%の頻度で存在した.これらの地域に広く存在するHbX遺伝子が,バリ牛からのgene-flowによるものであり,バリ牛もゼブ系牛によって,ある程度雑種化されていることが本調査により示唆された.Hb型およびAlb型における各々のインドネシア産家畜牛の遺伝子構成は,それらの来歴に一致していると考えられ,移入されたインド牛品種とともに,バリ牛が東南アジアの牛の成立過程において,無視し得ない一要素となっていると考えられた.
  • 大島 正尚, 布施 洋, 石井 忠雄, 中垣 一成
    1978 年 49 巻 11 号 p. 828-831
    発行日: 1978/11/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
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