日本畜産学会報
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47 巻, 2 号
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  • 樫原 亘, 田中 正志
    1976 年 47 巻 2 号 p. 55-62
    発行日: 1976/02/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    鶏および豚組織中のフラゾリドンの微量分析法を確立するために,まず螢光測定条件,薄層板上に展開されたフラゾリドンスポットのピリジン処理条件,フラゾリドン量と螢光強度の直線関係などを調べた.ついで,組織からのフラゾリドンの抽出,分離および精製を検討した.その結果,鶏または豚の組織に蒸留水,塩化ナトリウム, IN塩酸および回収試験の場合のみ所定量のフラゾリドンを加えてホモジナイズし,溶媒抽出精製操作,カラムクロマトグラフィーによる精製操作および薄層クロマトグラフィーを行い,ピリジン蒸気と接触させて得られるスポットの螢光強度を測定する方法によるフラゾリドンの微量分析法が確立された.この分析法により,フラゾリドンを投与した鶏の筋肉,肝臓および脂肪つき皮膚,豚の筋肉,肝臓,脂肪および腎臓における残留量を調べた.その結果,フラゾリドン投与終了後1日休薬すれば,上記のいずれの組織からもフラゾリドンの残留は認められなかった.
  • 中村 豊, 吉田 條二, 中村 亮八郎, 堀江 博文
    1976 年 47 巻 2 号 p. 63-67
    発行日: 1976/02/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    メン羊に高硝酸生草を継続給与した場合のルーメン内硝酸,亜硝酸濃度の変化を調査し,また,給与の前後におけるルーメン細菌の硝酸還元能を追求した.1) 高硝酸生草給与初日には,ルーメン内の亜硝酸出現量が少なく,中毒症状は認められなかった.しかし,2日目以降には亜硝酸が経日的および経時的に増加し,これに伴い,貧血症状が観察され,血液中のMHb含量も上昇した。なお4日値以降ではルーメン内硝酸,亜硝酸はほぼ同様の経時変化を示した.2) 分離菌体を用いたin vitro培養成績によれば,低硝酸生草給与時よりも高硝酸生草給与時の菌体の方が硝酸の減少と亜硝酸の増加を速やかにした.3) 以上の結果から,反芻家畜に高硝酸生草を継続給与すると,ルーメン細菌がこれに「適応」し,そのために亜硝酸出現量が増加して中毒が発生しやすくなると推定された.
  • 藤島 通, 市川 忠雄
    1976 年 47 巻 2 号 p. 68-72
    発行日: 1976/02/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    2因子の反転試験法において,それぞれの処理順序群や反復内の個体数が異なるいくつかの実験をまとめるための分析方法を提示した.分散分析における平均平方の期待値から,前処理の残留効果が存在する場合は処理間差を過大評価する傾向のあることがわかった.また,この方法の適用によって,現行の分析法では検出できなかった処理の効果を検出することができるだけでなく,処理と反復との交互作用効果も分離,検定できることが,不等間隔搾乳試験の数値例を用いて示された.更に,2因子反転法の適応に際して,留意すべき条件についても論議された.
  • 佐藤 泰, 山西 宏明
    1976 年 47 巻 2 号 p. 73-80
    発行日: 1976/02/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    本研究は家兎新鮮皮と塩蔵皮を用い,pH 8.0~10.5の溶液で溶出される繊維間タンパク質とグリコサミノグリカンを検出し,溶出成分に対する塩蔵の影響を明らかにする目的で行った.溶出液については,窒素,ヘキソース,ウロン酸の定量,アクリルアミドゲル電気泳動,Sephadex G-150カラムクロマトを行った.新鮮皮からの溶出物量はpH 9.0~9.3以上で多くなり,pHが高いほどアルブミン群に対するグロブリン群の比率,ヒァルロン酸に対するデルマタン硫酸の比率が高くなった.塩蔵液中に溶出するタンパク質はそれほど多くないが,ヘキソース含有物質とウロン酸含有物質は多く塩蔵期間が長くなるほどそれらの量は増加した.塩蔵皮では塩蔵期間が長くなるほど,各pH溶液により溶出するヘキソース含有物質とウロン酸含有物質が多くなった.溶出液にはデルマタン硫酸やヒアルロン酸のほかにコンドロイチン-4-硫酸やコンドロイチン-6-硫酸が溶出した.またデルマタン硫酸,コンドロイチン-4-硫酸,コンドロイチン-6-硫酸が溶出するpHは,塩蔵期間が長い皮ほど,中性の方へずれてきた.コンドロイチン-4-硫酸やコンドロイチン-6-硫酸がとけてくるのは,塩蔵中の飽和塩と溶出液の弱アルカリ性のためであり,新鮮皮や塩蔵皮からヒァルロン酸とデルマタン硫酸が溶出する場合には,それぞれグロブリンやアルブミンと結合して溶出すると考えられた.
  • 横田 浩臣
    1976 年 47 巻 2 号 p. 81-86
    発行日: 1976/02/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    アミノ酸の腸管吸収を腸管腔からの消失量と腸間膜静脈血中への増加量という面に加えて,腸管組織内への蓄積量をも観察し,それぞれの時間的推移を測定してアミノ酸吸収を論じた.5か月令(体重約2kg)の白色レグホン雄鶏を用い,L型およびD型のメチオニンとリジンをそれぞれ単独にKrebs-Ringer phosphate溶液に10mMに溶解し,その5mlを前後を結紮した空腸後部の腸管腔へ注入し,その腸管に分布している腸間膜静脈から血液を10分ごとに分画採取した.また注入後10分および20分での腸管組織内の遊離のアミノ酸量をも測定した.L-メチオニンは腸管腔からの消失量も血中への増加量も注入直後から多くなる.D-メチオニンでは腸管腔からの消失量は注入直後から多くなるが血中への増加量は注入後10分以降に増加している.L-リジンおよびD-リジンの腸管腔からの消失量は,注入直後は少なく,注入後10分以降に多くなるが,血中への増加量は10分以降も変化しなかった.腸管組織内の遊離のアミノ的濃度は,L-メチオニン注入では注入後10分でも20分でも増加しなかったが,D-メチオニンでは注入後10分では腸管組織内濃度の増加は大きく,20分では少なくなった.リジンではL型,D型ともに注入後10分でも20分でも腸管組織内濃度は高かった.以上の結果から,アミノ酸吸収には2つのCarrierが存在し,その1つは腸管腔から腸管組織内への移行の段階で,他のものは腸管組織内から血中への移行の段階で作用していることが示唆された.
  • 吉田 勉, 中谷 圭子, 神立 誠
    1976 年 47 巻 2 号 p. 87-94
    発行日: 1976/02/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    ウサギ盲腸内容物を採取し,等量の蒸溜水で希釈し,粗繊維質や窒素化合物(カゼイン•卵アルブミン•グリシン)を添加して,39°C3時間の嫌気培養を行い,無添加時と比較した.pH,純蛋白質,粗繊維,揮発性脂肪酸(VFA;酢酸,プロピオン酸,n-酪酸,n-吉草酸に分別)およびビタミンB2(透析型と非透析型に分別)の変化を調べた.1) 粗繊維質添加後の変化として,純蛋白質分解の減少および粗繊維分解の増加が認められた.また,全VFA生産やVFA中に占める酢酸モル比の低下,およびB2(とくに非透析型)の増加が起こった.2) 窒素化合物添加後の変化を見ると,カゼイン添加でpHの低下や純蛋白質の分解が著しく,また純蛋白質分解は卵アルブミン添加では一定せず,グリシン添加で減少した.粗繊維の分解に関しては一定の傾向が得られず,全VFA量は窒素化合物の添加でしばしば増加し,とくに卵アルブミン添加で著しかった.各VFAのモル比では酢酸が低下し,これは卵アルブミン添加時に顕著であった。ビタミンB2量はカゼイン添加では影響がなく,卵アルブミンやグリシン添加時には増加した.
  • 鈴木 惇
    1976 年 47 巻 2 号 p. 95-103
    発行日: 1976/02/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    メン羊と牛の骨格筋の筋線維型におけるmyofibrillar ATPaseのpH安定性を組織化学的に調べた.クリオスタット切片をATPaseの反応の前に,酸およびアルカリの溶液に浸漬することにより,これらの動物のA型とB型筋線維のmyofibrillar ATPaseは,酸不安定•アルカリ安定性であり,C型,D型,E型筋線維のそれは,酸安定•アルカリ不安定性であることがわかった.pH 4.0の前処理で,D型筋線維のATPase活性は,C型およびE型筋線維よりも強く抑制された.酸およびアルカリ安定性のA型筋線維が見つかったが,その数は少なく,個々の筋肉および個体ではないものもあった.室温(16~18°C)でpH 4.3の前処理後のATPase反応では,めん羊と牛の間でpHに対する感受性のわずかな差が,ある種の筋肉のB型筋線維でみられた.酸およびアルカリ前処理における温度は,このATPase活性の抑制に影響を及ぼすことが示された.
  • 矢野 秀雄, 川島 良治
    1976 年 47 巻 2 号 p. 104-109
    発行日: 1976/02/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    本試験は濃厚飼料多給が尿,血清中ミネラル濃度に及ぼす影響を調べ,牛や羊における尿結石症発生の要因を検討しようとした.濃厚飼料対粗飼料比が90%:10%,80:20,70:30,60:40である4種類の飼料を6頭の去勢メン羊に与えた.濃厚飼料対粗飼料比が増すにつれて,尿量はやや低下した.濃厚飼料90%の飼料を与えた時,尿pHは低下し,尿中カルシウム濃度は増加した.濃厚飼料対粗飼料比が増すにつれて,尿中リン濃度は増加し,血清中リン濃度はわずかに増加した.尿pHと尿中カルシウム濃度の間(r=-0.795,p<0.01)と,尿pHと尿中リン濃度の間(r=-0.841,p<0.01)には有意な2次相関が見られた.濃厚飼料の多給により軽度のアシドーシスが発生したものと考えられるが,それにともなう尿中リン濃度の増加は尿結石症発生の1つの原因になるであろう.
  • Kousaku TANAKA, Kihachiro NOBUKUNI
    1976 年 47 巻 2 号 p. 110-112
    発行日: 1976/02/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
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