飼料中の脂肪あるいは蛋白質の配合量を変化させることにより,エネルギー含量を増減させた時,鶏ヒナの肝臓における脂質合成能および脂肪酸合成に関連しているいくつかの酵素活性を検討した.脂肪の配合量を変えた場合,肝臓中の全コレステロール含量は,ME1,900kcal/kgの飼料を給与したヒナにおいて低い値を示した(P<0.01).血清中のNEFA濃度は,飼料のMEが1,900から3,100kcal/kgの給与飼料まで,エネルギー含量の増加に伴って増加した(P<0.01).蛋白質の配合量を変えることにより,肝臓中のトリグリセリド含量は飼料のMEが1,800から3,200kcal/kgの給与飼料まで飼料中MEの増加につれて低下したが(P<0.01),ME3,700kcal/kgの飼料を給与したヒナにおいて,ME3,200kcal/kgの飼料を給与したヒナの値まで増加した.肝臓中の全コレステロール含量は,ME 3,700kcal/kgの飼料を給与したヒナにおいて,高い値を示した(P<0.01).脂肪の配合量を変えることにより,肝臓切片における脂肪酸合成能,肝臓中のNADP-リンゴ酸脱水素酵素およびクエン酸開裂酵素活性は低下した(P<0.01).蛋白質の配合量を変えることにより,肝臓切片における脂肪酸合成能および肝臓中のNADP-リンゴ酸脱水素酵素活性は,飼料のME1,800から3,200kcal/kgまでは順次低下したが(P<0.01),ME3,700kcal/kgの飼料給与では増加した.肝臓中のクエン酸開裂酵素活性は,ME3,700kcal/kgの飼料を給与したヒナにおいて増加を示した(P<0.05).
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