本研究では,ブタの筋肉内脂肪蓄積に影響を及ぼす要因を探索するために,同一の環境条件下で飼養し,かつ父方半兄弟である供試豚(n = 151 去勢雄n = 73,雌n = 78)を作出したところ,胸最長筋中の筋肉内脂肪含量が1から10%に広範囲に分離した.そこで,この分布の高低10%に相当する個体を抽出し,筋肉内脂肪含量が高い個体(HF群 : 去勢雄n = 7 ; 8.1 ± 1.6(%),雌n = 8 ; 5.5 ± 0.8(%))と低い個体(LF群 : 去勢雄n = 7 ; 2.9 ± 0.2(%),雌n = 8 ; 2.1 ± 0.3(%))間で,IMF含量と有意な相関が認められた発育成績,胸最長筋肉重量,筋肉内脂肪細胞の体積と数を比較し,筋肉内脂肪含量に関連する形質を探索した.その結果,HF群の生時体重はLF群よりも有意に軽く(
P <0.05),体重115 kg到達日齢はHF群がLF群より有意に長かった(
P < 0.05).また,HF群の胸最長筋の筋肉重量はLF群よりも有意に低い(
P < 0.05)値であった.一方,HF群の筋肉内脂肪細胞の数および体積はLF群より有意に多かった(
P < 0.05).これらのことから,飼養条件が同一で,父方半兄弟である供試豚の筋肉内脂肪蓄積は,生後の発育遅延および筋肉発達の抑制と関連があることが示唆された.
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