日本畜産学会報
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32 巻, 5 号
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  • 松尾 幹之
    1961 年 32 巻 5 号 p. 259-264
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • VII. 傾斜牧草地におけるLadino cloverとOrchard grassの競合について
    佳山 良正
    1961 年 32 巻 5 号 p. 265-270
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    1) 前稿に引き続いて,同じ材料について,Ladino clover, orchard grassの草勢直線の交角を求め,これを競合度として表示した.本稿では,傾斜地における競合度の変化について考察を加えた.
    2) 土壤要因,すなわち透水度,clodの含有率,粗砂,細砂,微砂の含有率,孔隙率,容水量,均等係数,全酸度,全炭素,全窒素および熱塩酸可溶燐酸と競合度との間の関係を検討した.その結果,燐酸含有率が高いと,競合度が大になつて,両草種の勢力差が大きく開いた.同様のことが,孔隙率にみられた,また全窒素と全炭素の含有率および透水度が高くなると.両草種の勢力差が小さくなる傾向がみられた.
  • VIII. 人工草地における収量の推定と傾斜のelevationに対する生産力の修正
    佳山 良正
    1961 年 32 巻 5 号 p. 271-278
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    1) わが国の人工草地の牧養力を見積もるには,植生調査の結果から求められる米国式見積り法よりも,重量法と積算優占度の組合せによる見積り法のほうが,草地の実態をつかむのに適していると思う.
    2) 人工草地における収量は,本試験の結果からいつて,表土の燐酸,容水量および粘土含有率から推定すると,最も有意な成績が得られると思う.それで,この目的のために,草地の違いによる要因と,傾斜のelevationによつて生ずる要因とを除いた剩余の平方和と積和から,推定式を組み立てた.その有意な推定式は,次のとおりである.Y=0.435+14.980X1-0.005X2+0.056X3ただし,X1は熱塩酸可溶燐酸,X2,容水量,X3は粘土含有率.
    3) 傾斜地における低位と高位の性質の相違を確認する方法を考えた.両部位の計測項目をできるだけ多く用いて判定するため,PEARSONの種族類似係数を応用して,草地の類似係数を計算した結果,人工草地および自然草地の傾斜の低位と高位は明らかに別個の群に属する性質のものと判定された.
    4) 傾斜の低位と高位に生産する牧草の間の栄養収量の差を検定した.両部位の牧草収量をTDN(kg)で表わし,その差を分散分析によつて検定した結果,有意の差が認められた.高位の栄養収量/低位の栄養収量は0.815であつた.
    5) 牧草中のイネ科とマメ科の(F'+D'+C'/3に,重量の重みづけをした数値の和を2分して得た値を生産率とした.生産率の分散分析の結果は,草地の違いによる誤差要因が最大であつたが,傾斜のelevationに基づく誤差要因も無視できなかつた.傾斜の低位の生産率の平均値に対する高位の生産率の平均値の比は0.816であつて,前記の栄養収量の比とほとんど同じであつた.
    以上の結果から,本試験において対象とした,傾斜度12~15度および斜長100m程度の人工草地では,傾斜の高位の生産力(または牧養力)を,低位のそれの81.5%程度に見積もることによつて,適切にして安全な傾斜草地の管理計画がたてられると思う.
  • I. 濃度の影響と吸着後の変化
    和田 敬三, 川村 亮
    1961 年 32 巻 5 号 p. 286-290
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    クロム鞣液中には,少量のアニオンクロムが共存することが多い.著者らは鞣製上,これらのはたす役割りを明らかにするために,このものの吸着時の濃度の影響,吸着後の皮蛋白上での変化について実験を行ない.次の結果を得た.
    1. アニオンクロムは,液中に少量しかない場合でもよく選択的に,かつ低いpHで,皮蛋白に吸着される.
    2. 皮蛋白に吸着されたアニオンクロムは,これがさらにカチオンクロム液に作用すると,皮粉上で配位酸根をカチオンクロムに転換して,液中に新しいアニオンクロムを作り,一部が皮上でカチオンクロムに変わる.これらの結果から,少量のアニオンクロムの存在は,鞣製を促進する意味のあることが考えられる.
  • 石橋 功
    1961 年 32 巻 5 号 p. 291-300
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    ラットの未受精卵子の分割について,細胞学的に一連の観察を行ない次の結果を得た。
    1. 同一個体で,左右の卵管から,時間を異にして卵子を採取するを,分割卵子は排卵後24時間(左卵管)では14.7%(34個のうち5個)で,5細胞期までであり,排卵後30時間(右卵管)では58.1%(31個のうち18個)で最高7細胞期に達している。なお,1細胞期の卵子で,排卵後24時間では11個の卵子に,30時間では1個の卵子に,極体様細胞の形成が認められた。
    2. 切片法による観察:排卵後24-30時間では第2成熟分裂中期の状態がつづき,排卵後24-42時間では染色体の分散した卵子がみられた。排卵後24時間以降において,多核の卵子や分割卵子がみられた。分割の際の紡錘糸は認められなかつた。
    3. 位相差顕微鏡およびスライド染色法による観察:排卵後30時間に採取した卵子143個のうち,分割していない卵子は76個(53%)で,これらは第2成熟分裂中期(7個),染色体の分散(49個),多核など,種々の状態にあつた。残りの67個(47%)は分割卵子で,最高10(多くは2~5)細胞期まで認められた。そのうち11個(16.4%)はpseudo-normal ovumであつた。分割卵子のすべての分割球は核を有するように観察された。
    4. ラット19匹に,プロゲステロン5mgの単独,またはエストラダイオールlγとの併用注射を行なつて,未受精卵子の7床を試みたが,成功しなかつた。
    5. ラット15匹の卵巣を切片法によつて観察した。異常卵子138個のうち,11個では染色体が分散し,27個は多核卵子で,100個は分割していた。1細胞期の卵子のうち,極体1個をもつものは8個,極体2個をもつものは5個であつた。
    6. 以上の観察から,ラットの未受精卵子の分割は,退化の過程において,直接分割(immediate cleavage)によつておこるものであることを知つた。なお,単為発生卵子は存在しないであろうと考えられた。
  • 1. 予備実験およびホスファターゼ作用に対する影響
    津郷 友吉, 林 俊雄
    1961 年 32 巻 5 号 p. 301-307
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    1. 牛乳に対する放射線照射の予備実験の成績によれば,全乳では,好気的条件下で,26×104rのX線照射によつて,生菌数が0になつた.このときの細菌の生存曲線は指数函数的であつた.
    全乳の放射線照射による変化は,脱脂乳の場合よりも変化が少ない.これは全乳中の乳脂肪が,他の乳成分に対する保護物質として作用するためと考えられる.なお異臭として,脂肪酸化臭を発生した.
    脱脂乳の放射線照射による変化は,全乳の場合に比して,pHの減少と酸度の増加がいちじるしい.異常臭として,蛋白分解臭が認められた.
    2. 全乳および脱脂乳を放射線照射した後,それらのホスファターぜ作用を測定した.その結果,ホスファターゼは,放射線照射に対して,きわめて抵抗性があることが示された.すなわち88×104rでは,わずかに約5%が失活したに過ぎず,2100×104rでは,ようやく約70%の失活が認められた.この場合に,大量の放射線照射によつて,ホスファターゼ反応陽性の化合物が生成され,そのために反応が陽性となる可能性はないことを証明した.牛浮しのホスファダーゼは,加熱の場合(63°C30分でほとんど失活)とは比較にならぬほど,放射線照射に対して抵抗性が大であることを確認した.
    全乳と脱脂乳のホスファターゼ作用を,γ線照射後に比較した。それによると,脱脂乳のほうが,照射開始から失活開始までの期間(lag phase)が短い.また全乳よりも少ない照射量によつて,ホスファターぜ作用の失活が始まる.
  • III. コラーゲンのエステル化について
    岡村 浩
    1961 年 32 巻 5 号 p. 308-310
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    1. コラーゲンのメチルエステル化そ条件,すなわち酸の種類,濃度,反応時間について検討し,エステル化の程度をクロム錯塩の吸着量によつて比較した.その結果,メチルエステル化は,濃塩酸で0.2Nに調整されたメチルアルコールをコラーゲンの100倍容量使用し,室温で8日間浸漬して行なうことが望ましいと考えられた.
    2. メチル,エチル,プロピル,イソプロピル,ブチル,イソブチル,アミルおよびイソアミルそ各アルコールおよびエチレングリコールの合計9の種類そアルコールを使用し,前項1の条件で,エステル化を試みた.その結果,(a) アルコールの炭素数が多くなるほど,エステル化の程度が低下すること,(b) 側鎖のアルコールは,これに相当する直鎖のアルコールよりも,エステル化の程度が減少することを認めた.
  • 山内 邦男, 津郷 友吉
    1961 年 32 巻 5 号 p. 311-317
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    カゼイン溶液を,単独に,あるいは糖または乳清蛋白質と混合して,加熱したときの電気泳動的変化を観察した.結果は次のとおりである.
    1. カゼイン(pH 6.7,2,5%のNa caseinateまたはCa caseinate)を単独に加熱したときは,100°C30分とでは,ほとんど変化しないが,120°C30分またはこれ以上の条件で加熱すると,α-,β-カゼイン峰が扁平になり,両者の易動度およびβ-カゼインの相対濃度が,わずかに減少する.この変化は,Na caseinate溶液を加熱したときも,Ca caseinate溶液を加熱したときも,同様に認められる.
    2. 120°C30分加熱の際,乳糖が4%共存すると褐色化するが,泳動図は糖無添加の場合とほとんど相違しない.グルコース4%共存の場合には,ひカゼイン峰が不均一で,かつ鋭い峰となり,β-カゼイン峰が著しく減少する.乳糖10%,120°C加熱,および乳糖4%,125°C加熱においても,の無添加の場合と比較すれば明らかに泳動図の差が認められる.
    3. カゼインと乳清蛋白質の混合液(混合比2.5:1)においては,100°C以下の加熱で,泳動図に顕著な変化が認められる.すなわち,見かけのα-カゼイン峰が不均一になるとともに,その濃度が増加し,一方,β-ラクトグロブリン峰は減少ないし消失する.泳動図はNacaseinate-乳清蛋白質を加熱したときと,Ca caseinate-乳清蛋白質を加熱したときとでは一致しない.またカゼインー乳清蛋白質混合液をレンネット処理後加熱した場合と,加熱後レンネット処理した場合とでも,泳動図が相違する.これらの理由について考察した.
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