ウサギ盲腸内容物を採取し,等量の蒸溜水で希釈し,粗繊維質や窒素化合物(カゼイン•卵アルブミン•グリシン)を添加して,39°C3時間の嫌気培養を行い,無添加時と比較した.pH,純蛋白質,粗繊維,揮発性脂肪酸(VFA;酢酸,プロピオン酸,n-酪酸,n-吉草酸に分別)およびビタミンB
2(透析型と非透析型に分別)の変化を調べた.1) 粗繊維質添加後の変化として,純蛋白質分解の減少および粗繊維分解の増加が認められた.また,全VFA生産やVFA中に占める酢酸モル比の低下,およびB
2(とくに非透析型)の増加が起こった.2) 窒素化合物添加後の変化を見ると,カゼイン添加でpHの低下や純蛋白質の分解が著しく,また純蛋白質分解は卵アルブミン添加では一定せず,グリシン添加で減少した.粗繊維の分解に関しては一定の傾向が得られず,全VFA量は窒素化合物の添加でしばしば増加し,とくに卵アルブミン添加で著しかった.各VFAのモル比では酢酸が低下し,これは卵アルブミン添加時に顕著であった。ビタミンB
2量はカゼイン添加では影響がなく,卵アルブミンやグリシン添加時には増加した.
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